2015 Fiscal Year Annual Research Report
無水鉱物中の微量水素位置の特定:マントルレオロジーへの応用
Project/Area Number |
13J07374
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
櫻井 萌 東京工業大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高圧その場IR / 上部マントル / カンラン石 / 斜方輝石 / ダイヤモンドアンビルセル / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、上部マントル鉱物中の水素挙動の解明に向け、理論計算および高圧その場IR実験を用いて研究を行った。本年度は採用満了年度として、当該採択課題より得られた結果を元に、鉱物中の水素挙動がマントルレオロジーに与える影響を考察した。 水素は非常に軽く、高温高圧下の状態が保持されず、大気条件下に戻るときに位置が容易に変化してしまうと考えられる。そこで、本年度は技術的に困難とされる水を含んだ無水鉱物のIRその場観察実験を行い、その手法の確立、およびIRスペクトルの圧力変化を観察することを試みた。 過去3年の研究結果を振り返り、地球上部マントル中の水素挙動に関し、結晶科学的観点から考察を行った。「最上部マントル条件下における鉱物間の水の分配実験」でFT-IRにより得られたIRスペクトルと、「斜方輝石中の微量水素位置の特定」で第一原理計算により得られた振動数を直接比較することで、無水鉱物の水素位置を決定する手法を開発した。さらに、含水量の低い無水鉱物のための高圧その場IR測定の手法開発を行った。最後に、高圧条件下で得られたIRスペクトルを確立した第一原理的手法と組み合わせ、Foの水素配置の変化について考察した。この結果、実験的に含水量の変化に伴いかんらん石のすべり面が変化することが知られていたが、この変化は水素配置の変化により説明できることがわかった。本研究成果はその場観察実験によって得られた水素位置の変化と物性の変化の関係を結びつけ、水素配置というミクロの視点からマントルレオロジーというマクロの視点の解釈を行った初めての報告であり、今後さらに研究を進めることで含水量の関数としてマントルの粘性、電気伝導度などの物性が、結晶化学原理により体系的に理解可能になることが期待される。これが現実のものとなれば、マントルレオロジー研究の上で大きなブレークスルーとなることが予想される。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Grain-growth Kinetics of Olivine Using in-situ 2D X-ray Diffraction2016
Author(s)
Tsujino, N., Noritake, F., Sakurai, M., Higo, Y., Funakoshi, K., Takahashi, E.
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Journal Title
Spring-8 Section A: Scientific Research Report,
Volume: 2011B1318, 2012A1473/BL04B1
Pages: 印刷中
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Elastic wave velocity anomalies of anorthite in a subducting plate: In situ experiments2015
Author(s)
Matsukage, K. N., Nishihara, Y., Noritake, F., Kawamura, K., Tsujino, N., Sakurai, M., Higo, Y., Nakajima, J., Hasegawa, A., Takahashi, E.
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Journal Title
American mineralogist
Volume: 100
Pages: 1856-1865
DOI
Peer Reviewed
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