2013 Fiscal Year Annual Research Report
不均質媒質中における地震の動的破壊機構の解明 : XBIEMで切り拓く新領域
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13J07419
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日下部 哲也 東京大学, 地震研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 破壊 / 不均質媒質 / 拡張境界積分方程式法 / 地震 |
Research Abstract |
本研究は、「断層周辺の不均質構造が地震発生機構にどのような影響を及ぼすか」という地震学における根源的な問いに対して、地震の動的破壊の理論的研究(破壊力学に基づき亀裂の進展・停止を定量的に解析する)の立場から答えることを目的としている。2013年度の研究成果は大きく分けて2つある。 1. 媒質不均質に起因する破壊パターンの定性的・定量的評価 定式化が容易な2次元面外問題に対して、媒質不均質性の動的破壊への効果を、本研究で開発されたXBIEM法を用いたシミュレーションにより調べた。具体的には、媒質の境界を横切るような断層破壊の計算を行い、(1)断層がそのまま媒質境界を横切って破壊するか、(2)媒質境界の破壊が励起されるか、を評価した。結果、媒質のS波速度コントラストに起因する動的破壊パターンの変化を明瞭に抽出し、その力学機構が媒質境界での波動エネルギーの変換による効果で説明できることを示した。媒質不均質性を定量的に扱い、破壊パターンを評価する研究は、これが初めてであり、その意義は大きい。 2. 任意形状の媒質境界形状を扱えることの数学的証明(2次元等方均質面外問題から、3次元均質媒質への拡張) 媒質の不均質性を考える上では、ものの違いそれ自体に加えて境界形状の違いが重要であるが、XBIEM法において、曲がった媒質境界が扱えるかどうかは、等方均質な2次元面外問題に対してのみ検証されてきた。2013年度の研究によって、等方でなくとも小領域内で均質でさえあれば、3次元問題に於いても曲がった境界を取り扱うことができることを数学的に示すことに成功した。今後、応用上重要となる2次元面内問題及び3次元問題に対しても、任意の媒質境界形状を取り扱えることが理論的に示されたのは、重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最も定式化が容易である2次元面外問題に対してではあるが、媒質不均質が動的破壊に及ぼす影響を定性的・定量的に解釈できるようになった。これは、媒質不均質の効果を抽出するという研究目的の観点からすると、十分な成果である。しかし、その成果を論文として投稿できていない。また、より現実的な2次元面内問題へ着手できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
論文の執筆が滞っていることで、研究の進展が遅れているので、一時的に論文の執筆を中断する。その間に、より現実的で応用上重要な2次元面内問題の研究を先に進める。その成果を日本地震学会秋季大会及びAGU fall meetingで発表する。その後、論文執筆に集中し、2次元面外問題・面内問題のそれぞれに関して一本ずつ論文を投稿する。
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Research Products
(3 results)