2014 Fiscal Year Annual Research Report
不均質媒質中における地震の動的破壊機構の解明:XBIEM開発で切り拓く新領域
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13J07419
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日下部 哲也 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 破壊 / 不均質媒質 / 拡張境界積分方程式法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「断層周辺の不均質構造が地震発生機構にどのような影響を及ぼすか」という地震学における根源的な問いに対して、地震の動的破壊の理論的研究の立場から答えることを目的としている。25年度までの研究において、2次元面外問題に関して計算手法(XBIEM)を開発し、応用計算を行ってきた。媒質の不均質性が破壊パターンにどのように影響を与えるかをシミュレーションを用いて検証し、エネルギーの観点から物理的解釈を与えることができた。ただし、対象が2次元面外問題であり、媒質との相互作用による法線応力の変化を考慮することができなかった。この相互作用を考慮に入れたシミュレーションを行うためには、まず2次元面内問題の手法開発が必要である。 26年度の研究によって、2次元面内破壊の数値計算に必須である核関数を導出することに成功した。上述のように、現実的な断層上の動的破壊過程と媒質との相互作用を考察するためにはこの核関数は必須であり、導出した意義は大きい。また、従来の均質媒質中で用いられてきたBIEM核関数と不均質媒質中で用いられるXBIEM核関数とを結びつける生成関数を導出することに成功した。このような生成関数を発見したことは、これまでの核関数との関係性を統一的に見ることを可能とし、意義深い。 また、25年度の研究において本研究で、3次元問題においても曲がった媒質境界が扱えることを数学的に示した。これに関連して、火山学の体積震源についても成果を出した。火山の体積震源について、地震モーメントはある2通りの体積変化を元に記述されており、それらにはEshelby (1957)の理論が言及されてきたが、関係性が不明瞭であった。その関係性を表現定理の観点から統一的に示した。これは、XBIEMの定式化で用いられている表現定理の考え方を火山震源においても適用し、解析解を得たことに依って可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2次元面内破壊の数値計算に必須である核関数の導出に成功したことで、断層面に働く法線応力と媒質からの反射波/透過波との相互作用を取り扱うシミュレーションが可能になる。これは、現実的な断層上の動的破壊過程を考察するためには必須であり、この解析を可能とする核関数を導出した意義は大きい。また、25年度の成果を用いて、火山の圧力震源に対しても統一的な視点を与えたことは意義深い。 しかし一方で、2次元面内問題のコードの開発が滞っており、破壊計算を実行できていない。また2次元面内問題よりも、さらに現実的な3次元問題の核関数の導出には至っていない。さらに論文の執筆及び学会発表も滞っている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在書き進めている2次元面外/面内問題の計算手法に関する論文を完成させる。完成後に、2次元面内問題のコード開発及び3次元問題の核関数の導出を行う。それらの成果及び26年度分の未発表の成果について、日本地震学会秋季大会及び日本火山学会秋季大会で発表を行う。
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Research Products
(3 results)