2013 Fiscal Year Annual Research Report
高反応性カチオン種の触媒的制御を志向したキラルボレート塩の創製と機能評価
Project/Area Number |
13J07425
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木津 智仁 名古屋大学, 大学院工学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 有機分子触媒 / キラルイオン対触媒 / キラルアニオン |
Research Abstract |
イオン対型触媒は、イオン対間に働く強いクーロン相互作用により高い反応性を持つイオン性活性種を認識し、反応性や立体選択性を制御するための触媒として広く研究されている。しかし、既知のイオン対型触媒系を俯瞰すると、キラルカチオンを持つ触媒と相補的になるべきキラルアニオンを持つ触媒による反応性カチオン種の制御を実現した例は非常に限られている。これは、入手容易なキラルアニオンが一般に求核性を持ち、高い反応性を持つカチオン性中間体と反応しイオン性を失うことで、分子認識を実現するためのクーロン相互作用が期待できなくなるという根源的問題に起因する。 本研究では、新たなキラルアニオンを設計するためのコア構造として四配位ホウ素アニオンすなわちボレートに着目した。ボレートは、テトラピラゾリルボレートのような特有の立体的・電子的性質を利用した金属への配位子、あるいはBF_4-やBArF-のような嵩高い非配位性アニオンとして広く使われてきた。一方で、その骨格に立体制御能を求めるような試みは少なく、高い立体選択性を示すボレートはほとんど知られていない。われわれは、BArF-の非配位性アニオンとして求核力を持たない性質を活かした特有の三次元構造を有するキラルボレートを創製できれば、高反応性カチオン種の新たな立体制御法を確立しうると考えた。 本年度は、既に合成済みのモデル化合物であるアキラルなボレートを基に、キラルな三次元構造を持つテトラアリールボレート塩の合成に取り組んだ。しかし、環歪を減少させる為に様々な入手容易な不斉源の導入および芳香環の検討を行ったが、単離精製可能な安定性を有するキラルなボレートは得られなかった。一方、【5.5】スピロ環構造を持つBN_2O_2型ボレートを新たに設計し、合成に成功した。今後は、安定なボレート構造の探索の継続とアニオンの特性を生かした反応開発に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では従来型イオン対触媒と相補的なキラルアニオンを持つイオン対触媒の合成が鍵となるが、本年度の研究によってその合成に成功している。よって今後は新たに開発したキラルアニオンを持つイオン対触媒を用いる反応開発にも取り組む。
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Strategy for Future Research Activity |
単離可能な安定性を持っ様々なキラルボレートの合成を継続的に取り組む。不斉反応において高い立体選択性を得るためには不斉環境の微細な調整が必須であることから、特にアニオン中心周辺に修飾可能な部位を多く持つ分子の設計・合成に注力する。平行して、合成したキラルボレートを用いた反応開発に取り組む。合成したキラルボレートは、非常に嵩高い構造を持つことから従来型の求核力をもつキラルアニオンとは異なる特性を有することが予測されるため、その特性を活かし高い反応性を有するカチオン性中間体の制御に挑む。
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Research Products
(1 results)