2013 Fiscal Year Annual Research Report
植物マイナス鎖RNAウイルスのリバースジェネティクス系確立に向けた分子基盤の構築
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13J07458
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 一也 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 植物病理 / 植物ウイルス / リバースジェネティクス |
Research Abstract |
本年度の研究目的はマイナス鎖RNAウイルスであるfig mosaic virus (FMV)の感染性クローン作成の基盤の構築であり、具体的には、植物細胞内における、FMVゲノムRNAと、ゲノムRNAの複製に必要な、ウイルス複製酵素、ヌクレオキャプシドプロテインの発現ベクターの構築である。まず、ゲノムRNAの発現ベクターの構築であるが、目的の長さで切断される様にリボザイム配列を付加した全長ゲノム配列を、35Sプロモーターを有するベクターにクローニングし、目的通り切断されたRNAが植物内で蓄積していることが確認された。このことから、ゲノムRNAの発現系は構築できたと考えられた。次に、複製酵素、ヌクレオキャプシドプロテインを発現させる為に、同様に35Sプロモーターを有するベクターにそれぞれの遺伝子を導入し発現を試みたところ、ヌクレオキャプシドプロテインの発現は確認されたが、複製酵素の発現は確認されなかった。複製酵素はウイルスの複製に必須な因子であり、発現させることは本研究計画の達成に不可欠である。そこで、複製酵素遺伝子のmRNAが発現していないのか、翻訳がなされていないのかRT-PCRにて確認したところ、mRNAの発現が確認されなかった。次に、転写RNAをin vitroで転写することによる複製酵素の発現を試みた。複製酵素遺伝子をT7プロモーターを有するベクターにクローニングし、RNAの転写を行ったところ、目的通りのRNAの発現が確認された。しかし、本mRNAを無細胞翻訳系にて翻訳を試みたが、複製酵素の翻訳は確認されなかった。これは複製酵素が非常に多いためか、翻訳にopen reading frame以外に存在するcis因子が必要である為と考えられた。現在は想定されるcis領域の配列を含めて遺伝子をクローニングすることで発現が可能であるかを検討しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目標は複製酵素の発現系が確立されていないことを除けば、ほぼ達成されているが、複製酵素の発現が当初の予想より困難であることが明らかとなってきており、計画の遅延が予想されるため。
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Strategy for Future Research Activity |
複製酵素遺伝子のopen reading frameのみならず、近傍の配列にも着目し、実験を推進する。 また、現在の時点で遂行可能なその他の実験を計画より繰り上げて行う。
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