2013 Fiscal Year Annual Research Report
経済主体間の相互作用の効果が所得分布に与える影響について
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13J07736
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒田 禎之 東京大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013-04-26 – 2015-03-31
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Keywords | 所得分布 / 対数正規分布 / 相互作用 / 企業成長率の分布 / ジブラ則 / ラプラス分布 / Variance-Gamma過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、経済主体間に相互作用があるという仮定の下、現実の所得分布で観察される規則性(所得分布が対数正規分布で近似されること)の持つ意味について、確率論的アプローチを用いて研究を行った。その結果、相互作用から生み出される経済主体に働く力というものは、所得の比較的高い人々には大して働かず、一度、高所得になれば、長期にわたって高所得の状態を維持できるという性質を持つものであることが分かった。この結果は「Income Distribution among Individuals:The effects of economic interactions」としてまとめている。 特に、平成25年度の科研費を翌年に繰り越したが、上記の研究と関連して、企業の成長率の分布に存在する規則性の分析にも、上記のアプローチが有用であることが分かったので、この規則性が持つ意味について研究を行った。その結果、企業の成長は小さなショック(成功)の積み重ねではなく、少ない数のジャンプによって決まるという事実の反映であることが示せた。これは「Firm Growth Dynamics: The importance of large jumps」として論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず当初の計画通り、所得分布の規則性に関して、「Income Distribution among Individuals:The effects of economic interactions」という形で論文にすることができ、またそれに(テーマというよりは手法という意味で)関連して、企業の成長率に関する分析を進めることができ、企業の成長に関するダイナミクスに関する重要なインプリケーションを得ることができた(「Firm Growth Dynamics: The importance of large jumps」)。関連する研究課題を見つけ形にできたので、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
博士論文は基本的に3つの章で構成されるが、平成25年度の研究の2つの論文(「Income Distribution among Individuals:The effects of economic interactions」と「Firm Growth Dynamics: The importance of large jumps」)をさらに発展させて、博士論文の3つの章の内の2つの章とすることを考えている。また、経済主体間の相互作用に焦点を当てた研究テーマをを翌年度も考えており、上記の論文とは別の論文を完成させることで博士号の取得を目指す。
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Research Products
(4 results)