2013 Fiscal Year Annual Research Report
脱ユビキチン化酵素USP15によるMysterinの機能制御
Project/Area Number |
13J07825
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
小谷 友理 京都産業大学, 総合生命科学部工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | もやもや病 / AAA+ ATPase / ユビキチンリガーゼ / 脱ユビキチン化酵素 / 血管 / 神経 / 筋肉 / zebrafish |
Research Abstract |
もやもや病は、日本人に多い脳血管障害であり、原因が分かっていない難病である。我々のグループによる遺伝解析から、もやもや感受性因子として、新規タンパク質mysterinの同定・単離に成功した。 Mysterinは、ATPase活性とユビキチンリガーゼ活性を持つ非常に面白いタンパク質で、病気の観点からも細胞生物学な観点からも、どういった機能を持つのか非常に興味深い。 細胞内における機能を知るため、基質やコアクターの網羅的な探索をLC/MSで行い、脱ユビキチン化酵素USP15の同定に成功した。USP15はmysterinと結合し、mysterinに付加された分解シグナルであるユビキチンを取り除き、安定化する現象を明らかとした。最近、内在性のUSP15の検出に成功し、内在性のUSP15がmysterinのユビキチン鎖を取り除くことを明らかにした。また、zebrafishを用いたin vivoの系で、mysterinを発現抑制すると血管のミスガイダンスが見られ、USP15をzebrafishで発現抑制した結果も、部分的な血管ガイダンス異常が見られた。以上から、血管ガイダンスの過程において、USP15とmysterinのgenetic interactionを予想し、解析を続けている。さらに、mysterinをzebrafishで発現抑制すると、血管ガイダンス異常の他に、発生遅延、運動障害が見られた。詳しい異常を、免疫染色で確認したところ、筋繊維の形成異常、運動神経のミスガイダンスも見られた。つまり、mysterinは、血管、筋肉、神経の形成、ガイダンスを制御していると考えられ、mysterinの発現抑制によって引き起こされるフェノタイプの網羅的な解析を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脱ユビキチン化酵素USP15とmysterinの相互性は、細胞生物学的におおむね明らかにしたが、zebrafishの実験系で、より確かにする必要がある。Mysterinをzebrafishで発現抑制した系に関し、当初予定していた結果より、大幅に進み、新たな知見を得ることが出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
脱ユビキチン化酵素USP15とmysterinの関係性をより明らかにすべく、mytserinをzebrafishで発現抑制した条件でのフェノタイプを明らかにする必要がある。Mysterinを発現抑制すると、運動障害、筋繊維の形成異常、神経ガイダンス異常、血管ガイダンス異常が見られ、このようなフェノタイプがcell-autonomousかnon-cell-autonomousかをはっきりさせ、mysterinの関与機構を明らかにすべきである。この問題点の解明のため、mysterinを発現抑制した条件下で、組織特異的に過剰発現させ、例えば、筋肉でのみmysterinを過剰発現させたとき、他の血管や神経等の組織における影響を調べていく。
|
Research Products
(2 results)