2014 Fiscal Year Annual Research Report
ファシズム政権下のイタリアにおけるアメリカ文化の受容と影響
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13J07961
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小久保 真理江 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | イタリア文学 / アメリカ文学 / モダニズム / 20世紀 / 比較文学 / 翻訳 / 文化変容 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、前年度の研究成果を基盤に、イタリアでのアメリカ文学の受容について個別の作家に焦点を当てた調査・分析を進めた。具体的には、アメリカン・モダニズムの先駆的作家であるシャーウッド・アンダーソンの作品が、1920年代から1930年代のイタリアの知識人の間でどのように受容・翻訳されたのかを調査分析した。また、イタリアにおける受容の特性を相対的に理解するため、同時期の日本におけるアンダーソン作品の受容と比較した。 さらに今年度は、ファシズム期のイタリアにおけるアメリカ文化の受容と影響について、モダニズムの概念を鍵に検証し、その特徴を分析した。モダニズム研究に関連する文献を読み、近年の研究の動向や問題点を整理すると共に、新たな視点を取り入れる方法を模索した。さらに、イタリアでのアメリカ文学の紹介に重要な役割したチェーザレ・パヴェーゼの評論や詩を中心に、テクスト分析を進めた。 8月末には、モダニズムについての理解を深めるため、ヘルシンキ大学で開催された第4回EAM(European Network for Avant-Garde and Modernism Studies)国際研究集会に参加した。この研究集会では、イタリア詩とモダニズムとの関係をテーマとするセッションで自らの研究成果を発表したほか、ヨーロッパ各地のアヴァンギャルドやモダニズムについて様々な角度から論じる他のセッションにも聴衆として参加した。共通の関心を持つ研究者との意見交換により、近年のイタリアン・モダニズムに関する議論の問題点をより明確に理解することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、当初の計画通り、シャーウッド・アンダーソンのイタリアでの受容を調査・分析し、日本での受容と比較することができた。フランスやドイツでの受容との比較までは着手できなかったものの、日本との比較を行ったことにより、イタリアでの受容の特性を相対的に理解することができた。また、モダニズム関連の文献を整理すると共に、具体的なテクスト分析を進めることにより、ファシズム政権下のイタリアにおけるアメリカ文化の受容について「モダニズム」を鍵に論じるための基盤を作ることができた。また、今年度は国際研究集会に参加し、自らの研究成果を発表したほか、参加者との交流を通してモダニズムについての理解を深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に得た知見や分析結果を基盤に、個別の作家に焦点を当てた分析をさらに進める。イタリアにおけるアメリカ文化受容の特性をより明確に理解するため、他国でのアメリカ文化の受容状況とも比較する。また「モダニズム」の概念を鍵とする検証をさらに進めるため、モダニズム関連の研究文献を精読すると共に、アメリカ文学の翻訳に携わったイタリアの作家の評論を中心とするテクスト分析を行う。
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Research Products
(7 results)
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[Book] Metamorfoza kul'tur i novye perspektivy2015
Author(s)
Marie Kokubo, Satoko Ishida, Sayaka Yokota, Tadahiko Wada, Hiroyuki Yamaguchi, Yuya Suzuki, Kyoko Numano, Takayuki Satoh, Anna Jampol'skaja, Ludmila Saburova, Anastasia Golbutsova, Alexandra Bibikova
Total Pages
288(236-244)
Publisher
Tokyo University of Foreign Studies
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[Book] 文化横断的行為としての翻訳2015
Author(s)
Marie Kokubo, Satoko Ishida, Tadahiko Wada, Hiroyuki Yamaguchi, Kyoko Numano, Takayuki Satoh, Keiko Kuwayama, Daniela Eckerle, Simone Mueller, Yukiko Luginbuhl, Mateusz Cwik
Total Pages
125(118-125)
Publisher
Tokyo University of Foreign Studies
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[Book] Tradizione, Traduzione, Trasformazione2015
Author(s)
Marie Kokubo, Satoko Ishida, Sayaka Yokota, Tadahiko Wada, Hiroyuki Yamaguchi, Yuya Suzuki, Kyoko Numano, Takayuki Satoh, Keiko Kuwayama, Filippo Milani, Matteo Casari, Paola Scrolavezza, Francesco Barbieri, Mario Domenichelli, Niva Lorenzini, Massimo Rizzante, Elena Cervellati, Giuliana Benvenuti, Remo Ceserani
Total Pages
250(15-21)
Publisher
Tokyo University of Foreign Studies
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[Book] Paesaggi corporei: percepire, scrivere, incarnare il mutamento2015
Author(s)
Marie Kokubo, Satoko Ishida, Sayaka Yokota, Tadahiko Wada, Hiroyuki Yamaguchi, Yuya Suzuki, Kyoko Numano, Raffaele Milani, Daria Catulini, Massimo Rizzante, Mario Domenichelli, Maurizio Ascari
Total Pages
138(65-71)
Publisher
Tokyo University of Foreign Studies