2015 Fiscal Year Annual Research Report
競技力向上のためのトレーニング効果を予測する遺伝子多型マーカーの探索
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13J08000
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
宮本 恵里 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スポーツ生化学 / トレーニング / 遺伝子発現 / マイクロアレイ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、高強度・短時間・間欠的運動トレーニングにより骨格筋中で発現が変化する遺伝子を同定することを目的として下記の実験を実施した。 高強度・短時間・間欠的運動トレーニング介入の前後に採取した筋生検サンプルを用い、骨格筋中の遺伝子発現パターンをAffimetrix GeneChip Human Gene 2.0 ST Arrayにより解析した。ノイズレベルの信頼性の低いデータを除去したところ、解析対象となったプローブは合計16,509個であった。それらのプローブの発現レベルをトレーニング介入前後で比較した結果、トレーニング介入後に発現レベルが1.2倍以上有意(FDR < 0.05)に増加した遺伝子は72個であった。そのうち4つはマイクロRNAの遺伝子、10個はsmall nucleolar RNAの遺伝子であり、残りの58個がメッセンジャーRNAの遺伝子であった。これらの遺伝子がどのような機能を有するのかを明らかにするためGene Ontology解析を実施したところ、主に糖代謝、ミトコンドリア、細胞外基質、血管新生に関与する遺伝子であることが明らかとなった。また、有意に発現が増加した遺伝子について、どのようなパスウェイと関連のある遺伝子が多いのかを調べるためにパスウェイ解析を実施したところ、糖代謝や脂質代謝のパスウェイに関連する遺伝子が多いことが示された。 また、マイクロアレイ解析により得られたmRNA発現データの妥当性を検証するため、リアルタイムPCRを用いた定量PCR解析によりマイクロアレイ解析と同様の結果が得られるか否かの検証を行った。マイクロアレイ解析でトレーニング後に発現が増加した5つの遺伝子に着目し、発現レベルを定量PCRで解析した結果、全ての遺伝子のmRNA発現レベルがトレーニング介入後に有意に増加していた。また、全ての遺伝子について、マイクロアレイ解析により得られたmRNA発現レベルと定量PCR解析により得られたmRNA発現レベルの間には有意な正の相関関係が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の実験結果から、本研究のマイクロアレイ解析結果の妥当性が示され、高強度・短時間・間欠的運動トレーニングにより発現が増加する遺伝子が明らかとなった。平成28年度はこれまでに得られたデータから、トレーニング効果の個人差に関与する遺伝子を同定することができると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の実験結果から、本研究のマイクロアレイ解析結果の妥当性が示され、高強度・短時間・間欠的運動トレーニングにより発現が増加する遺伝子が明らかとなった。平成26年度までに高強度・短時間・間欠的運動トレーニングによる最大無酸素性エネルギー供給能のトレーニング効果には大きな個人差が存在するというデータを得ていることから、平成28年度はこれらのデータを元に、トレーニング効果の個人差に関連する遺伝子の同定を行う。
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Research Products
(5 results)