2013 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性の制御における成長因子プログラニュリンの役割に関する研究
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13J08130
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三好 貴大 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC 1)
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Keywords | ミクログリア / プログラニュリン |
Research Abstract |
PGRNは前頭側頭葉変性症やアルツハイマー病といっだ異常タンパク質の蓄積がみられる神経変性疾患の発症に関与する可能性が高い。本研究ではTDP-43の核移行シグナルを欠損させたTDP-43-Tgおよびヒトの変異APP, PS1を導入したAPP/PS1-TgにPGRN遺伝子を欠損させたPGRN-KOを交配させ作出したハイブリッドマウス(TDP43/PGRN-KO, APP/PS1/PGRN-KO)を用いてPGRN欠如が異常タンパク質の蓄積および行動に与える影響および活性化ミクログリアによる病態形成における炎症の影響を解析することで, 神経変性の制御におけるPGRNの役割を解明することを目的とする。 本年度は主にAPP/PS1系を用いて検証を行った。まず8週齢のAPP/PS1-Tg, APP/PS1/PGRN-KOの脳を用いて, 抗Aβ42抗体による免疫組織化学染色により蓄積の程度を調べたところ蓄積がほとんどみられず, ニッスル染色による比較でもジェノタイプ間に差がみられないため, 今後は30週齢のマウスを対象に検証を行うこととした。 1. 脳の組織学的解析 抗Aβ42抗体による免疫組織化学染色ではWTおよびPGRN-KOの脳では観察されなかったAβの蓄積がAPP/PS1-Tg, APP/PS1/PGRN-KOの大脳皮質, 海馬を中心に観察された。蓄積の程度についてはサンプル数が少なく比較は行えていないAPP/PSEN1-Tg, APP/PSEN1/PGRN-KOの大脳皮質および海馬から各種溶液(TBS, ギ酸)を用いてAβを連続的に抽出しELISA法によりAβ量を測定した。サンプル数が少ないものの, 傾向としてどちらの分画においても大脳皮質より海馬においてAβ量が多く, ジェノタイプ間での差はほとんどないと考えられる。 2. 行動学的解析 学習機能や運動機能解析を行うためにモリス水迷路, Y迷路およびローターロッド試験におけるプロトコルを確立した。現在WT, APP/PS1-Tg, APP/PS1/PGRN-KOを用いてサンプル数を増やして解析を行っている。 3. 分子生物学的解析 Aβにはミクログリアを活性化させる作用があり, PGRN欠如もミクログリアの活性化を亢進させることが示されている。そこで本年度は培養ミクログリアを確保するため, マウスの大脳および海馬からミクログリアを単離する実験系を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ハイブリッドマウスの作出につき十分なサンプル数が確凝きていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはサンプル数の十分な確保を行う。これと並行してWTおよびPGRN-KOのミクログリア培養系を用いてアミロイド添加実験を行う。またミクログリアの活性化により生じるサイトカインの産生や過酸化物の蓄積をリアルタイムPCRやウェスタンブロッティング法によって解析し, 各群で比較する。さらに生後1年以上のマウスを用いて加齢による影響も検討する。
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