2013 Fiscal Year Annual Research Report
美しいものは使いやすい?:美的ユーザビリティ効果の生起メカニズムの検討
Project/Area Number |
13J08177
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 知世 名古屋大学, 大学院環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 流暢性 / 美しさ / 使いやすさ |
Research Abstract |
本研究では、美的ユーザビリティ効果の生起メカニズムの解明、および、美的ユーザビリティ効果がもたらす判断の誤りを是正する方法の模索を目的としている。美的ユーザビリティ効果とは、美しいものは使いやすいだろうと思ってしまう現象である。また、流暢性とは視覚情報の処理の容易さを指す概念であり、流暢性が高いほど美しいと判断される。 前述の目的を達成するために全部で3つの実験が計画されており、今年度にはそのうち1つ目の実験が実施された。この実験では流暢性が美的ユーザビリティ効果に関与するかどうかを検討することを目的としていた。流暢性が美的ユーザビリティ効果に影響する可能性は、Webサイトなどのインタフェースの流暢性を段階的に操作することによって確かめることが可能だと考えられた。 実験刺激の元となるWebサイトの画像は当初計画では収集等の手段で準備される予定であったが、後続の実験での使用を考慮して実際に操作可能なWebページが複数作成され、それらを画像化した上で解像度を調整することによって実験刺激として加工した。作成した実験刺激については予備調査を実施し、流暢性が操作できることを確認した。このように準備された実験刺激を用いて、質問紙調査と類似した形式で実験は集団実施された。 この実験から得られたデータを分析した結果、流暢性が美的ユーザビリティ効果に関与したことが確認された。この結果は国内学会である日本認知心理学会第11回大会において発表された。さらに、新しい分析と考察を追加した上で、査読付き国際学会である国際学会であるSociety for Personality and Social Psychologyにおいて発表された。また、国際雑誌に投稿するために、今年度の実験で得られたデータを基にした論文が執筆中である。論文の投稿先を国際誌にするのは、流暢性と美的ユーザビリティ効果の研究に従事する研究者が日本国外に多いためである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、美的ユーザビリティ効果の生起メカニズムの解明、および、美的ユーザビリティ効果がもたらす判断の誤りを是正する方法の模索を目的としている。本年度は美的ユーザビリティ効果の生起メカニズムを解明するための最初の実験を実施し、流暢性が美的ユーザビリティ効果に関与するという仮説を立証することができた。そのため、この仮説に立脚する後続実験も、計画に大きな変更を加えることなく実施することが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に実施された実験の結果に基づいて研究計画に細かな修正を加えた上で、後続実験の実験を行う。次に計画していた実験では、最初の実験で用いられた刺激とほぼ同一の刺激を使用する。ただし、最初の実験の刺激は静的なものであったため、次の実験での利用に備えて動的なものに改変する。さらに、実験参加者がヒューリスティック判断をしているかどうかを測定する方法について予備調査を行った結果を精査し、その測定方法を決定する。 また、実験と並行して、今年度から進めている査読付き国際雑誌への投稿準備も引き続き行う。加えて、本年度と同様に学会発表などにも参加し、国内外の研究者と積極的に意見交換を行う。
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