2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J08272
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
瀧本 真裕 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 超対称性 / 宇宙論 / スカラー場 |
Research Abstract |
強いCP問題をと階層性問題を解決する有力な模型出る超対称PQ模型では、新たなスカラー場であるサクシオン場の存在が導かれる。スカラー場の初期宇宙論は、模型の整合性を見る上で重要である。メキシカンハット型のポテンシャルを持ったサクシオン場が大きい初期値を持つ場合の初期宇宙論の研究を行った。解析の上では、初期宇宙を支配する熱浴からの効果や、非摂動的効果を取り入れた。結果、多くのパラメータ領域でサクシオン場は原点に一旦は束縛されることが判明した。また、束縛後に熱浴の温度が下がることによって再びサクシオン場が振動を開始することになるが、その振動が十分早く減衰するパラメータ領域が存在することが分かった。振動が早くに減衰しない場合、アクシオンを過剰生成してしまう可能性があるので、振動が十分速く減衰する領域は、宇宙論において重要である。 上記の研究で得られた初期宇宙におけるスカラー場の解析手法を生かして次の2つの研究も行った。Z2対称性を持ち真空中では崩壊できないスカラー場が、大きい初期振幅を持つ場合の研究を行った。この場合、スカラー場が宇宙に大量に残存してしまう可能性がある。しかし、宇宙の熱浴からの影響を考慮すると、相互作用が比較的大きい場合、初期値の大きさに依らずに十分速くに減衰することが分かった。Z2を持つスカラー場は、ダークマターの候補としても考えられるので、大きい初期値を持つ場合でも問題を引き起こさないパラメータ領域は、重要である。 宇宙の初期揺らぎを生み出すスカラー場の候補であるカーバトンに対する研究を行った。カーバトンのポテンシャルや、相互作用の形を従来の研究よりもより一般的な形を想定し、最終的に生み出される初期揺らぎを見積もった。特に、観測から厳しい制限を受けている非ガウス揺らぎをほとんど生み出さないシンプルなセットアップを発見した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超対称PQ模型に現れるスカラー場であるサクシオン場の初期宇宙論を定量的に議論し、模型の整合性の評価や模型のパラメータ領域に制限を課すことができた。また、他のスカラー場のダイナミクスに対しても研究を行い、結果を出すことができた。従って、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
超対称PQ模型の研究によって得られた知識や手法を生かし、より広い枠組みの初期宇宙の研究を行っていく。
|