2013 Fiscal Year Annual Research Report
高等真核生物におけるRNAサイレンシングの構造基盤の解明
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13J08341
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 直樹 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | RNAサイレンシング / X線結晶構造解析 / piRNA / Maelstrom / Argonaute |
Research Abstract |
本研究では高等真核生物におけるRNAサイレンシングの構造基盤を解明することを目的としており、申請者は中核タンパク質Maelstrom (Mael)とArgonauteタンパク質(Ago)の結晶構造解析に取り組んでいる。本年度は、これまでの研究で明らかになったショウジョウバエ由来Maelの結晶構造を基にした生化学的機能解析、およびシロイヌナズナ由来Argonaute7 (Ago7)や生殖器官特異的なAgoタンパク質PIWIの構造解析に向けたコンストラクト・タンパク質発現系の検討などを行った。 Maelは核酸結合モジュールのHMGドメインと機能未知のMAELドメインから構成される。piRNA経路を介したトランスポゾン抑制にはMAELドメインのみで十分であることが先行研究からわかっており、申請者はその結晶構造(DmMAEL)を決定したものの、生理学的機能は依然として不明であった。DmMAELがRNase H様フォールドをとることに着目し、ヌクレアーゼ活性測定を行い、DmMAELは活性を有することを示した。さらなる生化学的解析によりDmMAELは新規の一本鎖RNaseであることが明らかになった。HMGドメインの役割も不明な点が多かったが、ゲルシフトアッセイにより一本鎖RNAに強く結合することを示した。HMGドメインが基質との結合を促進し、MAELドメインが切断するというモデルを提唱し、現在論文執筆中である。Agoに関しては、Ago7とPIWIの構造解析を目指している。Ago7、PIWIともにHis-SUMOタグをN末端に融合したコンストラクトを作製し、大腸菌での発現を試みた結果、複数種のAgoタンパク質に関して発現が確認できた。培養温度やIPTG濃度などの発現条件を検討し、タンパク質発現条件の最適化を行った。現在、発現が確認できたものに関して大量培養ののち、精製条件の検討を進めている。タンパク質の可溶性・発現量を高めるため昆虫細胞発現系も既に構築しており、発現条件の最適化を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Ago7・PIWIの発現系の構築を行い、発現条件の検討を終え、精製条件を検討している。当初の目的であったAgo7に加えて生殖器官特異的に発現するAgoタンパク質PIWIについて発現条件の最適化を行ったという点で進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
Ago7・PIWI両タンパク質について大腸菌発現系による大量培養をし、精製条件の検討を進める。タンパク質発現量および可溶化効率が低い可能性が考えられるため、昆虫細胞発現系を用いた発現条件の検討も並行して進める。安定なタンパク質が得られたら、それぞれのガイドRNAと共精製あるいは共結晶化などによる複合体結晶化を行う。
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Research Products
(2 results)