2014 Fiscal Year Annual Research Report
高等真核生物におけるＲＮＡサイレンシングの構造基盤の解明
| Project/Area Number |
13J08341
|
|---|
| Research Institution | The University of Tokyo |
|---|
Principal Investigator |
松本 直樹 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
| Keywords | RNAサイレンシング / X線結晶構造解析 / piRNA / Maelstrom / Argonaute |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では高等真核生物におけるRNAサイレンシングの構造基盤の解明を目的とする。本年度はMaelstrom (Mael) の構造解析を基に生化学的機能解析を行い、成果をまとめた論文はCell Reports誌に受理された。さらにシロイヌナズナ由来Argonaute7 (AGO7) や生殖器官特異的に発現するAgoタンパク質PIWIの構造解析にも着手した。
申請者はこれまでに決定したショウジョウバエ由来Maelの機能未知なMAELドメイン (DmMAEL) の結晶構造からDmMAELは特定のヌクレアーゼファミリーに共通してみられるRNase H様フォールドをとるが、そのファミリーに共通する活性部位をもたないことを明らかにした。しかし依然としてその生化学的機能は不明であった。そこでDmMAELについて様々な基質を用いたヌクレアーゼ活性測定を行った。その結果、DmMAELは一本鎖RNAを特異的に切断するエンドヌクレアーゼであることなどが示唆された。さらにカイコやマウス由来MAELドメインも共に同様の酵素活性をもつことを見出した。さらに結晶構造や一次配列などから酵素活性に関係すると予想されるアミノ酸残基の点変異体を多数精製し、活性測定の結果、活性に影響を与えるアミノ酸残基をいくつか同定した。これらの成果をまとめた論文はCell Reports誌に掲載された。
Agoタンパク質に関してはAGO7とPIWIの構造解析を目指した。AGO7は様々なタグおよび発現ホストの検討の末、N末端His-SUMOタグ融合型AGO7を昆虫細胞で発現させることに成功した。現在、大量培養後の精製条件の最適化を進めている。PIWIに関しても、複数生物種由来PIWIについて、コンストラクトや培養細胞発現系の検討を行ったものの精製することはできなかった。そこで動物由来生殖細胞からPIWI特異的抗体を用いた抗体カラムを利用することでPIWIを得ることを試みた。精製条件の検討により、PIWIの精製に成功した。しかしながら、収量が低いことから精製条件の最適化を行っている。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Maelstromに関して、構造解析および機能解析の成果をまとめた論文がCell Reports誌に受理された。
AGO7に関しては、コンストラクト・タグ・発現条件の最適化を行った結果、昆虫細胞を用いてタンパク質を発現させることに成功した。また当初の目的であったAGO7に加えて生殖器官特異的に発現するPIWIタンパク質についてもタンパク質を精製することに成功したことから概ね順調に進展していると考える。
|
| Strategy for Future Research Activity |
AGO7に関して精製条件の最適化を進める。また、AGO7を昆虫細胞内で単独で発現させると結合するmiRNA特異性よりAGO7にmiRNAが取り込まれずタンパク質が不安定化される可能性が考えられた。そこで昆虫細胞にAGO7と二本鎖miR390/miR390*前駆体を共発現させる系の構築も検討している。その際、今回扱う植物由来miRNA前駆体が動物由来である昆虫細胞内のプロセシングマシナリーによって正しく認識・切断され正確なmiR390が合成されるかは不明であった。そこで、miR390前駆体の骨格構造を改変したコンストラクトを複数設計し、現在精製系の構築を進めている。
PIWIに関して精製条件の最適化を行う。大量かつ高純度のタンパク質が得られたら結晶化スクリーニングを行い、結晶化条件を最適化する。良質な結晶が得られたら、大型放射光施設SPring-8にてX線回折実験を行い、回折像を取得する。さらに重原子同型置換法などを用いることで位相を決定し、結晶構造を決定する。
|
Research Products
(2 results)
