2013 Fiscal Year Annual Research Report
4次元-2次元、3次元-3次元場の理論の双対性とM5ブレーン多体系の物理
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13J08436
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
菅野 正一 東京工業大学, 大学院理工学研究科(理学系), 特別研究員(PD)
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Keywords | 共形場理論 / W対称性 / 超対称ゲージ理論 |
Research Abstract |
本研究は、オメガ背景化における4次元N=2超対称ゲージ理論の分配関数と2次元共形場理論の相関関数との間の対応(AGT対応)を対象として行ったものである。2次元共形場理論はW代数により記述されると考えられていたが、我々はそれよりも大きな代数であるdegenerate double affine Hecke代数(DDAHA)が存在することを指摘した。 DDAHAは部分代数としてU(1)×ヴィラソロ代数を含んでおり、特に基底がN個のYoung図の組で指定される表現を構成するとU(1)×W代数と等価になると考えられているが、その証拠として中心電荷がW代数の中心電荷を正しく再現されることを確かめた。また、ネクラソフ分配関数に対する無限個のrecursion formulaを示し、これらのrecursion formulaがDDAHAの作用として理解できることを明らかにした。特に、U(1)×ヴィラソロ部分代数に関しては、頂点演算子への作用も考察し、ネクラソフ分配関数に対するrecursion formulaが共形場理論の3点関数に対するU(1)×ヴィラソロWard恒等式と一致することを任意のインスタントン配位に対して示した。ヴィラソロ代数の共形ブロックは、代数の構造から相関関数に含まれる演算子の共形次元の関数としての形が完全に決まっているため、先の結果はSU(2)超共形線形クイバーゲージ理論というクラスの理論に対してはaAGT対応が成立することを示している。 DDAHAに基づくAGT対応の証明はpure Yang Mills理論に対しては以前に行われていたが、物質場を含めた場合に対しては本研究が初である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標であった、任意のオメガ背景での拡大された共形対称性に基づくAGT対応の検証手法を構築できたことは大きな進展であり、研究は順調に進んでいると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
Nekrasov-ShatashVili極限(NS極限)というオメガ背景の特別な極限では4次元ゲージ理論に可積分構造や3次元ゲージ理論との関係が現れることが指摘されている。そこで、我々のDDAHAに基づく解析のもとで、NS極限がどのように理解できるか研究を行う予定である。
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Research Products
(2 results)