2013 Fiscal Year Annual Research Report
ロタキサンの動的特性制御を基盤とする機能素子・素材の創成
Project/Area Number |
13J08481
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤江 要祐 東京工業大学, 大学院理工学研究科(工学系), 特別研究員(DC1)
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Keywords | ロタキサン / シクロデキストリン / 高分子ロタキサン / サイズ相補性 / デスリップ / 分解性ゲル |
Research Abstract |
本研究では構造明確な低分子ロタキサンを基盤とした機能素子・素材の創成を目指す。まずは高分子系へと展開することを計画した。サイズ相補性ロタキサンを高分子系に拡張することで、高分子ロタキサン中の輪成分の数、向き、位置及び運動性の制御が可能であると考えた。まず低被覆率高分子ロタキサンの合成を目標とする。この分子は報告がないため合成面、物性面および応用面において非常に興味深い。具体的には片方の末端に嵩高い置換基を有するポリマーをサイズ相補性ロタキサンに導入することで合成できると考えられる。この分子が期待通り機能すれば、加熱によって2つの輪成分の位置が変化するような熱応答性分子スイッチの創出が期待される。この他にもサイズ相補性ロタキサンの動的特性制御を基盤とした機能性超分子の開発を目指す。 今年度は主に低被覆率高分子ロタキサンついて検討した。サイズ相補性軸末端基を持つ[3]ロタキサンの両末端にポリマーを導入し、高分子ロタキサンを合成した。完全アセチル化α-CD含有サイズ相補性[3]ロタキサンの、軸末端を開始点としたラクトンの開環重合によりサイズ相補性ポリマー[3]ロタキサンを得た。生成物をDMSO中で加熱するとサイズ相補性部位のデスリップ反応が進行し、各コンポーネントへと分解した。そこでNMRによりデスリップ反応の動力学的解析を行った。また末端封鎖反応により得られるポリマー[3]ロタキサンについても同様の検討を行った。その結果、デスリップ反応は末端封鎖剤の存在により大幅に遅くなることが分かった。また高分子鎖の長さにデスリップ速度は依存しないことも分かった。 またロタキサン構造を有する分解性ゲルの合成も検討している。現在合成の鍵となるロタキサン架橋剤の合成途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一の合成ターゲット分子である高分子ロタキサンは、今までシクロデキストリンを輪成分とした系での合成報告がなく、予想通り困難を伴ったが合成を達成した。またその特性評価も順調に進んだと言える。さらにロタキサン架橋剤の合成においては最終段階の官能基変換を残すのみであり、難所は越えたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り研究を進める予定である。2014年1月より半年間の海外研修を行っているが、進度は十分なためそれにより本研究の計画を変更する必要はない。しかし海外研修中に身につけた知見を生かすことができたら、そうしたアイデアも取り入れようと考えている。
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Research Products
(7 results)