2014 Fiscal Year Annual Research Report
ロタキサンの動的特性制御を基盤とする機能素子・素材の創成
Project/Area Number |
13J08481
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤江 要祐 東京工業大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ロタキサン / シクロデキストリン / 高分子ロタキサン / 分解性ゲル / 不斉伝達 / 刺激応答性材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では構造明確な低分子ロタキサンを基盤とした機能素子・素材の創成を目指す。まずは高分子系へと展開することを計画した。サイズ相補性ロタキサンを高分子系に拡張することで、高分子ロタキサン中の輪成分の数、向き、位置及び運動性の制御が可能であると考えた。まず低被覆率高分子ロタキサンの合成を目標とする。この分子は報告がないため合成面、物性面および応用面において非常に興味深い。具体的には片方の末端に嵩高い置換基を有するポリマーをサイズ相補性ロタキサンに導入することで合成できると考えられる。この分子が期待通り機能すれば、加熱によって2つの輪成分の位置が変化するような熱応答性分子スイッチの創出が期待される。この高分子ロタキサンに関しては、昨年度開発に成功した。この他にもサイズ相補性ロタキサンの動的特性制御を基盤とした機能性超分子の開発を目指す。 また今年度は、サイズ相補性[3]ロタキサンを架橋剤に用いてポリマーを重合し、刺激応答性ゲルを合成した。メチルメタクリレートのフリーラジカル重合にこのロタキサン架橋剤を添加し、ロタキサン架橋ゲルを得た。ゲルを溶媒に膨潤させて加熱するとサイズ相補性部位のデスリップ反応が進行し、ゲル全体の解架橋が進行した。また蛍光性の[3]ロタキサン架橋剤を用いた系についても同様の検討を行った。その結果、ゲルの解架橋の様子は蛍光を用いても観測することが出来た。 さらに今年度はシクロデキストリン(CD)含有ロタキサンの不斉特性解析も行った。CD含有ロタキサンにおいて、アキラルな軸末端置換基に、CDのキラリティーが転写され、CDスペクトルにCotton効果が観測された。この発現機構について調べている。今後はさらに詳細を検討し、不斉触媒やCPLへの応用を試みるつもりである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はロタキサン架橋剤を用いた刺激応答性ゲル、およびロタキサンの不斉特性解析を行った。いずれも難関である化合物の合成法は確立出来、また十分に興味深い結果が得られている。また初年度開発に成功した高分子ロタキサンの結果も合わせると、ロタキサンの動的特性制御を応用した系を3つ開発出来たことになる。それぞれ論文1本分以上の結果が得られていることから、研究は順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに研究を進める予定である。今までに大きく3つの系を新たに開発出来たことから、それらのさらに詳細な検討と、論文化を行う。その後4つ目となる系の開発に着手する。特にロタキサンの不斉特性解析に関してはまだ十分な知見が得られていないので、その系について十分に調べ、CPLや不斉触媒への応用可能性を検討する。
|
Remarks |
次の3件の受賞をした。ポスター賞、第25回基礎有機化学討論会2014年9月9日。Poster Award 、Molecular Chirality Asia 2014、Oct. 31, 2014, Beijing, China.藤森工業賞優秀賞、日本経済新聞社テクノルネサンスジャパン、2015年1月19日。 次の1件のテレビ番組に出演した。BSジャパン、「ヒラメキ!時代は理系」、2015年2月22日
|
Research Products
(6 results)