2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J08594
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 紗綾子 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 緑泥石 / 混合層鉱物 / HAADF-STEM / HRTEM / 陽イオン分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では200℃以上の比較的高温条件で沈殿した熱水系に産出するFeに富む緑泥石と100℃以下の低温条件で沈殿した続成作用に関するFeに富む緑泥石試料の結晶化学的特徴と形成機構の関係を原子レベルで解明した。 本年度は熱水系に産出する試料の内、Fe/(Fe+Mg)>0.9の試料を球面収差(Cs)補正装置付き走査透過電子顕微鏡(STEM)を用いて高角環状暗視野(HAADF)像を撮影し、八面体シート中の陽イオン分布を原子レベルで可視化した。像シミュレーションの結果と観察結果を比較した結果、この試料中の緑泥石層(1.4nm層)の層間シート中のM4サイトをAlとFe(III)が占め、残りの八面体陽イオンが他のM1、M2、M3サイトを占有しているということが分かった。1.4nm層と混合層構造を作る0.7nm層には1.4nm層中の2種類の八面体シートと同様の陽イオン分布を持つ2種類の0.7nm層があることが明らかになった。八面体シートの陽イオン分布が積層方向と水平な方向に変化している構造もみられた。本研究は混合層構造の陽イオン分布の不規則性を原子レベルで可視化した初めての例である。 続成作用によって形成されたFe緑泥石は比較的低温で形成されたにも関わらず、熱水系の試料に比べて不規則性の程度の低い積層構造をもつことが高分解能透過電子顕微鏡(HRTEM)観察により明らかになった。 同様の化学組成を持つ低温で形成された続成作用に関する試料と熱水系に産出する試料を比較した結果から次のような結論を得た。1.Feに富む緑泥石は形成温度に関わらず0.7nm-1.4nm混合層構造を含む。2.ポリタイプはIbbが主体だが、他のポリタイプとしばしば混合する。3.Feに富む緑泥石の結晶構造の不規則性は化学組成、温度だけでは説明することができず、むしろその形成メカニズムによってコントロールされている。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)