2013 Fiscal Year Annual Research Report
アルキンへの分子間求核付加反応を利用した新規不飽和カルベン錯体の発生法の開発
Project/Area Number |
13J08622
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
十河 秀行 東京工業大学, 大学院理工学研究科(理学系), 特別研究員(DC1)
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Keywords | アルキン / シロキシジエン / シクロヘプタ[b]インドール / 全合成 / 求電子的活性化 / ボロン酸エステル形成 / 付加環化反応 / 不飽和カルベン錯体 |
Research Abstract |
筆者はこれまでに白金(II)触媒によるアルキンの求電子的活性化を契機としてo-アルキニルアニリン誘導体から発生させた含窒素不飽和カルベン錯体中間体とシロキシジエンとの[4+3]型付加環化反応により、収率および基質一般性良くシクロヘプタ[b]インドール誘導体が得られることを報告している。本年度はまず、この研究の展開として、含窒素不飽和カルベン錯体中間体とシロキシジエンとの[4+3]型付加環化反応を利用するAmbiguine Qの全合成を目的に研究を行った。Ambiguine Qの骨格構築の足がかりとなる置換基を有する様々なシロキシジエンを用いて[4+3]型付加環化反応の検討を行ったところ、Ambiguine Qの部分構造を有するシクロヘプタ[b]インドール誘導体が収率よく得られることがわかった。今後望みの相対立体化学、各種官能基を有するシロキシジエンを合成し、[4+3]付加環化反応を検討することでAmbiguine Qの全合成を達成する計画である。 アルキンの求電子的活性化を契機とした不飽和カルベン錯体中間体の発生法の開発は広く研究されているが、そのほとんどが求電子的に活性化されたアルキンへの分子内求核付加反応を利用したものである。そこで筆者は次に、求電子的に活性化されたアルキンへの分子間求核付加反応を利用した新規不飽和カルベン錯体中間体の発生法およびそれを利用した骨格構築法の開発に取り組むこととした。まずプロパルギルアルコール誘導体とボロン酸とのボロン酸エステル形成を利用した擬似分子間反応による不飽和カルベン錯体中間体の発生法に関する検討を行ったところ、1-メトキシ-2-ブチン-4-オール誘導体にボロン酸存在下、白金(II)触媒を作用させることでβ-ジケトン誘導体が得られることを見いだした。これは不飽和カルベン錯体中間体が生成した後、カルベン部位への1,2-水素移動を経て生成すると考えられる。今後、発生させた不飽和カルベン錯体中間体を利用した更なる結合形成反応へと展開すべく様々な検討を行っていく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究の新たな展開としての全合成研究の進展に加え、新規不飽和カルベン錯体中間体の発生法の開発において、目的とするボロン酸エステル形成を利用した不飽和カルベン錯体中間体の発生法の開発に成功した。計画はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、様々な基質や金属触媒を用いた検討を徹底的に行いプロパルギルアルコールからα, β-不飽和カルベン錯体中間体の発生法を確立する。その際、生成した不飽和カルベン錯体中間体のカルベン部位への1,2-水素移動により不飽和カルベン錯体中間体が分解してしまうことが問題となる可能性がある。この問題を解決するため、遷移金属錯体の配位子等を広く検討するとともに、α, β-不飽和カルベン錯体中間体が生じても1,2-水素移動が起こらない3級のプロパルギルアルコールなどを基質として用いた検討も併せて行う。
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Research Products
(1 results)