2013 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロマシン面発光レーザ構造を用いた高出力・広帯域波長可変光源の開拓
Project/Area Number |
13J08625
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中濱 正統 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 半導体レーザ / 面発光レーザ / マイクロマシン / 波長可変レーザ |
Research Abstract |
本研究では, 将来の超高速短距離光通信システム用光源モジュールの実現を目的として, マイクロマシン構造の反射鏡を面発光レーザに集積したMEMS VCSELの研究に取り組んでいる. 本年度はその応用例の一つとして, 半導体レーザの波長温度無依存化を実現する「アサーマル面発光レーザ」の研究に取り組んだ. 従来から用いられているDFBレーザなどの半導体レーザは, 半導体材料の屈折率の温度依存性が原因で, 0.1nm/K程度の温度依存性を有する. その温度無依存化は非常に困難であり, 通常は温度の精密制御により波長を安定化させる必要があった. これを解決するため我々は, 熱駆動のマイクロマシン反射鏡を面発光レーザに集積することで, 波長温度無依存化を実現する構造を提案している. 反射鏡の熱駆動により温度上昇に応じて共振器を短尺化させ, 屈折率変化による共振器の変化を自動補償することで, 波長の温度無依存化が可能になる. この取り組みにおいて, 本年度は以下の研究成果を得た. 面発光レーザに熱駆動マイクロマシン反射鏡を集積することで, 波長温度係数を通常の面発光レーザの1/40以下(-0.0016nm/K)に抑制することに成功した. さらに, 波長温度無依存化と波長掃引の両立の検討を行った. これまではマイクロマシンを電気的に加熱することで駆動し波長掃引を行っていたが, 消費電力の削減が必要であるため, 静電力による駆動を検討した. その結果, 850nm帯において32nmの連続波長掃引に成功すると同時に, 約10㎜の広範囲に渡って温度係数を通常の面発光レーザの1/10以下に抑制することに成功した. 本年度成功した波長温度無依存化と波長掃引の両立によって, 半導体レーザの温調を不要にできる可能性があり, 将来の短距離WDM通信用光源モジュールを実現するための有力な候補であると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
面発光レーザに熱駆動マイクロマシン反射鏡を集積することで, 波長温度係数を通常の面発光レーザの1/40以下に抑制するとともに, 通常の1/10の温度係数を保ったまま, 約10nmの連続波長掃引に成功するなど, 本年度の研究目標をおおむね達成した. 半導体レーザの温度無依存化と広帯域波長掃引の報告は我々のグループ以外には無く, 満足できる進捗であると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果に基づいて, 以下の項目の検討を進める. (1)面発光レーザの絶対波長制御技術の確立 マイクロマシン面発光レーザ構造を用い, より高精度の波長制御技術を確立し多波長アレイの実現を検討する. (2)低温度係数を抑制した状態での波長掃引幅の拡大 本年度検討したアサーマル面発光レーザにおいて, より広い波長範囲での温度無依存化のための最適化を行う. (3)面発光レーザとスローライト光デバイスの集積構造の初期的検討 MEMSVCSELの新機能創出のため, Bragg反射鏡導波路に基づくスローライトデバイスとの光結合を実証する.
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Research Products
(6 results)