2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J08633
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
須佐 友紀 東京工業大学, 大学院理工学研究科(理学系), 特別研究員(DC2)
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Keywords | 弱測定 / 弱値増幅 |
Research Abstract |
本年度は、"弱測定を利用した信号増幅における測定器系の初期波動関数の依存性"に関する研究を行った。これは精密測定への応用を目指す上で弱測定による増幅効果そのものの性質を明らかにするものである。量子測定の一種である弱測定では、事前準備した測定器系と事前選択された被測定系を弱く相互作用させ、次に被測定系の終状態を事後選択する。事後選択は特定の状態のみを選択的に取り出す操作である。そして最後に測定器系の波動関数の位置または運動量の期待値を読み取り、測定前からどの程度シフトしたかを測る。このシフトは相互作用の強さと"弱値"という量によって決まる。弱値は被測定系の事前・事後選択をほぼ直交にすると大きくなるため、それに従いシフトも大きくなる。この効果は弱値増幅と呼ばれる。通例では相互作用は被測定系の観測量と測定系の運動量演算子で定義されるフォンノイマン型ハミルトニアンで記述される。 この増幅度は、測定器系の初期波動関数と測定による反作用に依存している。従来はガウス関数を用いられることが多いがこれは初期位置・運動量がともに0のものであった。そこで本研究ではより反作用を抑えられるように適当な初期運動量を与えたガウス関数を測定器系の初期波動関数とした場合の最大の増幅度を与える初期運動量及び、増幅度の計算を行った。被測定系が2準位系としたとき、結果として、適当な弱値において比較した場合にはより大きな増幅度を得ることができる。しかし、弱値を最適化した場合、すなわち増幅度の最大値は従来のガウス関数により与えられるものと変わらないことが分かった。また、被測定系の終状態の2つの状態の間に位相差がある場合、従来の初期運動量が0であるガウス関数においては位相差により増幅度は小さくなるが、対照的に今回考案した適切な初期運動量を与えたガウス関数の場合は、位相差によって増幅度が小さくなることはないことも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今回考案した波動関数は、測定の反作用を抑えることで弱値増幅においてより大きな増幅効果を得られるということの検証に向けての研究であった。しかし、本研究で得られた結果は、予想と違うものであった。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究結果は予想に反する結果となったが、今後、相互作用前後での測定器系と被測定系の間の相関に着目して基礎的な部分から弱測定・弱値増幅を考察する。また、重力波検出器への応用も視野に入れ研究を行う。
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Research Products
(4 results)