2013 Fiscal Year Annual Research Report
臨界領域付近の性能向上に基づく画像からの幾何学量推定手法の再構築と応用範囲の拡大
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13J08670
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 栄介 東北大学, 大学院情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ビジュアルトラッキング / テンプレートマッチング / 解像度モデル |
Research Abstract |
画像からの幾何学量推定問題一般において, 推定が不安定となる臨界領域付近や, その他の追跡性能が劣化するような状況に対して, 従来法よりも高精度に推定を行うための方法論の確立を目指した. 本年度では, 具体的に次の2つの項目の研究を実施した. 1. テンプレート画像の実効的解像度が, 追跡中の領域よりも低い場合に発生する追跡性能低下について調査し, 様々な画像を用いて実環境における実験を行う. 2. 1の問題をモデル化し, 平面追跡のアルゴリズムに組み込むことで, 安定性や精度の向上を図る. 1の実験から, 平面がカメラに対して近くなるような状況において, 追跡中の領域の実効的な解像度が上がり, テンプレートと追跡対象の見え方が一致しなくなることが判明した. これによって画像の比較がうまくいかず平面追跡の精度と安定性が低下していた. そこで我々は, 2において, 平面の位置・姿勢に応じて変化する線形フィルターを入力画像に適用することで, テンプレート画像と比較対象の画像の実効的解像度を調整し, 見えが一致するようにモデル化した. 入力画像よりもテンプレート画像の解像度の方が悪いという状況は, 一般的なコンピュータビジョンの問題を現実環境で解く際に頻繁に起こり得るため, 提案手法は, 様々な画像処理の精度や安定性の向上に寄与すると考えられる. 以上のモデルは, 我々が研究してきた臨界条件付近のモデルに組み合わせることが可能である. 両者のモデルは相補的であり, 2つのモデル統合をすることで, 対象平面がカメラに近い場合は入力画像の画質を調整し遠くに行った場合はテンプレート画像の画質を調整するように働く. したがって, 提案手法を使うことで, カメラと追跡対象の相対的な位置・姿勢によって決まるすべての解像度変化の問題に対処することができるようになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解像度変化に対応した統一的なモデルを作ることができたため, 大まかな理論についての目途が立った. しかし, コンピュータビジョンの問題に応用するにはまだ計算量が大きいため, その点について改善する必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究では, 平面追跡という最も基本的な問題に焦点を当てて, 理論を構築していた. そのため一般的なコンピュータビジョンの問題への応用についてはまだ検討されておらず, 有用性の証明という点では不十分であった. そこで今後の課題として, 従来手法では困難であった複雑かつ画質が極端に変化するような画像群における, カメラの自己位置推定や物体の3次元形状計測の問題に提案手法を適用し, 推定精度や形状計測の安定性がどのように向上するか調査を進める予定である. 具体的には, 動物に搭載したカメラから得られた悪条件な画像から高速・高精度に画像間の特徴の対応付けを行うシステムを構築することを目指す.
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