2014 Fiscal Year Annual Research Report
光誘導技術を利用した生体内神経細胞間ネットワークの人工構築法の開発
Project/Area Number |
13J08713
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 瑞己 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 神経細胞 / 軸索伸長 / 光制御 / DCC / Cryptochrome2 / 線虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究では,光照射による軸索の誘導法の確立を目的とした.具体的には,申請者がこれまでに開発した軸索伸長を担う受容体タンパク質DCCを光で活性化するプローブ,Photoactivatable-DCC (PA-DCC) を改良することで,神経細胞において光刺激により効率的に軸索伸長を誘発する手法を確立する.
1. ニワトリ胎児の後根神経節神経細胞にPA-DCCを導入した.落射型蛍光顕微鏡下でPA-DCCの導入された神経細胞の軸索先端部にある成長円錐の一部に刺激用の青色光を照射したところ,青色光照射部位へ統計的に有意に軸索が伸長する様子が確認できた.また,青色光による誘引後,再び逆側を青色光で刺激し続けたところ,青色光照射側へと再び伸長方向を転換させる様子が複数回観察された.以上の結果より,PA-DCCは初代培養神経細胞において光照射による軸索誘導能を持つことが明らかとなった. 2. PA-DCCによる軸索の光誘導が生きた個体内でも可能であることを実証するため,生きた線虫においてこれを試行した.これまでに,内在性の神経誘引物質であるUNC-6とUNC-6の別の受容体であるUNC-5を欠損させた二重変異体を作製したのち,PA-DCC分子内のDCCの部分をDCCのホモログであるUNC-40に交換したPA-UNC40を先の二重変異体に導入している.発生段階にあるトランスジェニック線虫を共焦点顕微鏡下で観察しながら標的としたVD神経細胞の成長円錐の一部に継続的に青色光を照射したところ,成長円錐が青色光照射部位へと誘引される様子が確認できた.この様子は複数回確認されており,この観察結果は統計的に有意であることが確認された.
本結果は生きた個体内で成長円錐の挙動の人為的制御を世界で初めて成功させた例であり,今後の神経形成メカニズムの解明に大いに貢献することが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では生きた個体内で光照射によって特定の神経細胞の軸索伸長を制御することを目的としている.申請時の計画では今年度は培養皿で培養した神経軸索の制御までを目標としていたが,「研究の概要」に記載した通り生きた線虫個体内での軸索伸長の制御も実現しており,当初の計画以上に進呈していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
本実験結果の妥当性を確認するために,成長円錐における下流分子の活性化を確認する.具体的には,後根神経節神経細胞においては,DCCの下流分子であるFAKのリン酸化が成長円錐内で生じていることを確認する.また,線虫においては下流分子であるmig-10の局在が光照射依存的に変化することを蛍光顕微鏡で確認する.また,下流分子のない変異体を用いて光照射による誘引が起きないことも確認する.
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Research Products
(3 results)