2013 Fiscal Year Annual Research Report
棒状分子の特性と自己組織化を利用した高複屈折性高分子液晶材料の開発
Project/Area Number |
13J08725
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
荒川 優樹 東京工業大学, 大学院理工学研究科(工学系), 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 複屈折 / 高屈折率材料 / ネマチック相 / コレステリック液晶 / 高分子液晶 |
Research Abstract |
高複屈折性液晶材料は位相差フィルム、偏光フィルム、反射型コレステリック液晶フィルム等数多くの光学材料への展開ができることから非常に有用である。一般的に大きな複屈折(△n)を発現するためには棒状分子の分子長軸方向への共役を拡張することが挙げられるが、相転移温度の向上や吸収波長の拡張(可視光への到達)等の問題も併せ持つ。実際に我々が以前に報告したジナフチル-アセチレンは広い温度範囲でネマチック相を示すものの、その液晶相への転移温度は100℃以上であり、実用的に用いられる温度には程遠い。 そこで本研究ではこのジナフチル-アセチレンを高分化し、ガラス化することで室温においてもその液晶配向状態を維持することが可能な新規液晶性高分子の分子設計の探索およびその分子量と複屈折性の関係を明らかにすることを目指した。主鎖骨格にはポリメタクリレートを用い、主鎖と側鎖を繋ぐリンカーの炭素数6に固定し、メソゲンのテイル炭素数を1,3, 6と変化させた。また、それぞれの分子において高分子量体とオリゴマー性の二種類の分子量体を合成することでその分子量依存性も検討した。 先ずテイル炭素数が6のポリマーに関しては液晶相の低温側にスメクチックC相が観測されたものの、テイル炭素数が3と1のポリマーではネマチック相のみとなり、炭素数1では67.4℃にガラス転移点が検出され、ポリイミド配向セルを用いたフィルムは室温においてもその配向を維持する結果が得られた。それぞれの化合物において△nを比較するとポリマー〉オリゴマー〉モノマーの順となり、分子量が大きくなるほど複屈折も向上するという結果が得られた。今回得られた△nの最高値はテイル炭素数が1のポリマーの室温において△n=0.36 (at 550nm)であった。これらポリマーとモノマーのオーダーパラメーターをX線回折測定により求めるとそれぞれ0.79、0.57であり、ポリマーにおいて非常にオーダーパラメーターが向上しており、その結果複屈折が向上していることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である主鎖型液晶性高分子ではその剛直性からネマチック液晶を得ることができなかったが、側鎖型高分子にすることで新規なネマチック液晶性高分子のガラス化に成功したため、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに複屈折性を向上するために極性基を導入した新規液晶性低分子および高分子化合物の合成を行う。また、それら化合物を用いて実際にコレステリック液晶フィルムの作成や偏波分離を行う。
|
Research Products
(6 results)