2013 Fiscal Year Annual Research Report
高精度シス配列予測に基づく植物の不良土壌適応戦略の解明
Project/Area Number |
13J08738
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
時澤 睦朋 岐阜大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 土壌ストレス / プロモーター / シス配列 / アルミニウム / リンゴ酸トランスポーター |
Research Abstract |
1. シス列予浪プログラムのアップデート 次世代シークエンサーを用いた転写開始点の網羅的な解析を行い、24,956遺伝子の転写開始点を同定した。この転写開始点データからプロモーター領域を決定した。同定したプロモーター配列をシス配列予測プログラム(yamamoto, et al., 2011)にアップデートした(14,960→24,956遺伝子)。このアップデートにより今まで対象にできなかった遺伝子の情報も予測に反映されるようになり、プロモーター解析において対象にできる遺伝子数が飛躍的に増加した。 2. リンゴ酸トランスポーターALMT1のプロモーター上のシス配列同定による転写制御機構の解析 植物のAlストレス耐性に必須なリンゴ酸トランスポーター遺伝子の転写制御メカニズム解明のため、上記アップデートを行ったシス配列予測法を用いて解析した。プロモーター上に8個の領域がシス配列として予測された。予測した配列を置換したプロモーターを植物体に組換えて機能検証した結果、7個がシス配列としての機能を持っことが分かった。シス配列の中には、基本転写を制御する領域、根端での発現に関わる領域、Alストレス誘導を担う領域、非ストレス条件下での転写抑制の領域が含まれていた。現在、結合する転写制御因子の探索など詳細な機能解析を行っている。 3. 合成プロモーターによるシス配列の大規模同定 シス配列予測法により共同研究者とともにアルミニウム、カドミウム、銅、塩類集積ストレスなどの土壌ストレスのマイクロアレイデータからシス配列をコンビネーションも含め100個ほど予測し、単純な合成プロモーターを設計した。現在、レポーター遺伝子と結合させ、組換えを行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の3つの理由から研究がおおむね順調に進展していると判断した 1. シス配列予測法のアップデートが順調に終わったこと。 2. シロイヌナズナのリンゴ酸トランスポーターのプロモーター解析から数多くの有用なシス配列が同定できたこと。 3. 土壌ストレス応答に関わるシス配列を予測し、その配列をもとに合成プロモーターを設計し、組換え体を作出し始めたこと。
|
Strategy for Future Research Activity |
リンゴ酸トランスポーターのプロモーター研究からいくつか新たな発見と課題が見えてきた。良い点としては、ストレス誘導や基本的な転写に関わるシス配列だけではなく、リプレッサーや発現組織特異性を示すようなエレメントが同定できたことである。リプレッサーは非ストレス条件下の抑制を担うもので発現のSigna1/Noise比をあげるようなコンストラクト作成に重要である。また、組織特異性を決めるエレメントも抽出できたことは、合成プロモーターの必要な量を必要な場所で発現させるという目的に適している(トランス側の発現組織の厳密な操作は難しいので)。このような配列の同定にも力を入れたい。一方問題点としては、ジンクフィンガーなどのDNA結合ドメインをもつ転写因子は認識配列がスペース配列を含むこと、かつ10数塩基以上にわたる場合があるので既存の予測では予測できない場合がある。現在、スペースを入れた配列の濃縮率を算出する方法など改良を試みている。
|