2013 Fiscal Year Annual Research Report
電子構造とフォノン分散制御によるAl基環境調和型熱電材料の創製
Project/Area Number |
13J08751
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 晃生 名古屋大学, 大学院工学研究科, 特別研究員PC2
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Keywords | 熱電材料 / 電子構造 / フォノン分散 / ゼーベック係数 / 電気抵抗率 / 熱伝導度 / 無次元性能指数 |
Research Abstract |
電子構造の特徴から選定した材料が示す熱電物性を, フォノン分散の特徴を考慮しつつ改質することで, 既存研科を凌駕する性能を示す環境調和な高性能熱電材料を創製することを目的として, 以下の研究成果を得た. [A]重元素部分置換を利用したSi_2Ti型Al-Mn-Si系合金の物性改質 Si_2Ti型Al-Mn-Si合金の良い電子物性に影響を与えないまま, 格子熱伝導度のみを低減するために構成元素を重元素で部分置換した. クラスター計算を駆使することで, 構成元素Mnを置換した際にフェルミ準位近傍に不純物準位を形成しない重元素としてRu, Reを特定した. RuとReを共置換することで, 格子熱伝導度のみを無置換試料の70%低減させ, 無置換試料と比較してZTを5.5倍増大させることに成功した. 得られた共置換試料を用いた場合, 最大熱電変換効率は, 既存の熱電材料であるBi_2Te_3合金を用いた場合の50%程度に留まっている. しかしその価格は, Bi_2Te_3合金の価格の1/4以下であることを考慮すると, 費用対勲果(効率/価格)の観点からは, 2倍以上良い材料である. [B]第一原理計算から選定した重元素部分置換を利用したCrSi_2型Al-Mn-Si系合金の物性改質 CrSi_2型Al-Mn-Si合金を作製したところ, Si_2Ti型A1-Mn-Si合金の呈する1.8倍のZTを得た. C54相の高性能化に成功した手法を踏襲して, 重元素での構成元素の部分置換を試みた. 電子構造計算からMnをWで置換することが有効であることを明らかにするとともに, W置換により電子物性が影響を受けないこと, および, 格子熱伝導度を50%も低下させた. 高性能化に利用した重元素wが安価であることから, 既存の実用化熱電材料であるBi_2Te_3合金の1/20程度の価格で作製可能である. CrSi_2型A1-Mn-Si系合金を用いた素子の最大効率は, Bi_2Te_3合金を用いた素子の最大効率の35%程度に留まっているが. 費用対効果(効率/価格)はBi_2Te_3合金の約7倍に達する. 拡散的に広がって消失する低温排熱から電力を有効に回収するためには, 多量の熱電材料を必要であり, Bi_2Te_3合金と比べて費用対効果が高いことを踏まえると, 本研究で開発したSi_2Ti型Al-Mn-Si系合金及びCrSi_2型A1-Mn-Si系合金はBi_2Te_3の代替材料として有望と言える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
年次計画に記したように, 申請者の研究グループが提案している, 電子構造とフォノン分散に関する考察に某つく熱雷材料の設計指針を利用することで, (a)Si_2Ti型Al-Mn-Si系合金の物性改質に成功し, 且つ, (b)第一原理計算を用いて新規熱電材料として有望と判断したCrSi_2型Al-Mn-si系合金の選定, 及び, その物性改質に成功している. 従って, 研究は順調に進展していると判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
年次計画に記したように, (a)Si_2Ti型Al-Mn-Si系合金の改質, (b)新規熱電材料の創製, (c)デバイスの試作を行う. Si_2Ti型Al-Mn-Si系合金における材料価格を維持したままさらに高いZTを得るためには, 置換元素としてMnをWで部分置換することが良いことを見出している. 従って, Ru/W/Re部分置換を併用することによって増大の余地があることから, 引き続き, 重元素置換を利用したSi_2Ti型Al-Mn-Si系合金の物性改質を行う. 第一原理計算を利用し, 良い電子物性を呈する環境調和な熱電材料を探索し, Al-Mn-Si合金の開発で成功している電子構造とフォノン分散の考察に依る物性改質を行うことで, 高性能熱電材料を創製する. 開発した熱電材料を搭載した熱電デバイスを作製及びその評価を行うことで, 開発した熱電材料の特性が優れていることを証明する.
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Research Products
(5 results)