2014 Fiscal Year Annual Research Report
シスト形成・発芽系における細胞の形づくり:超シェルターの組み立て機構
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13J08784
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
十亀 陽一郎 高知大学, 自然科学系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | タンパク質 / フィーディングRNAiノックダウン / シスト / クリプトビオシス |
Outline of Annual Research Achievements |
シスト形成の過程を分子レベルで理解するためには本課程で発現が変化するタンパク質の機能を知る必要がある。それゆえ、本年度の研究では、Sogame et al., 2012bとSogame et al., 2014で明らかにした、コルポーダのシスト形成過程において発現が変化するタンパク質のうち、非常に顕著な変化が見られる2つのタンパク質に焦点を絞り、シスト形成過程における機能解析を行った。 ①シスト形成過程初期段階で発現量が上昇するペプチド伸長因子1α(EF-1α) 基本的に計画通り実験を遂行することができた。シスト形成過程で発現量が増幅するEF-1αをフィーディングRNAiノックダウンし、ノックダウン処理を行った細胞と行っていない細胞を形態学的かつタンパク質レベルで比較した。その結果、EF-1αがシスト形成を促進するような因子であることがわかった。 ②シスト誘導後5時間で一過的に発現レベルが上昇するヒートショックタンパク質60 マススペクトル解析により得られたp60のアミノ酸配列情報をもとに標的配列の増幅を行ったが、増幅することができなかった。おそらくコルポーダのp60の場合、データーベース上に登録されているp60の配列とは異なる配列を有すると考えられる。現在のところこの状況に対する改善策は得られていないが、来年度からネムリユスリカの無代謝休眠(アンヒドロビオシス)の研究で用いられている研究手法を広く取り入れることにより状況の打開を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シスト形成課程で発現が変化するタンパク質のフィーディングRNAiによるノックダウンを行い、シスト形成過程初期段階で発現量が上昇するペプチド伸長因子1α(EF-1α)のシスト形成における機能について議論することができた。それゆえ本研究はおおむね計画通りに進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の材料であるコルポーダは、全くゲノム情報がわかっていない。本研究では、ゲノム情報がわかっていない生物に対して個々のタンパク質情報を得ることにより突破口を開こうと試みた。それによりある程度の分子レベルでの解析を行うことができた。しかしながらp60の例に見られるように、大幅な研究方針の転換が要される事態も少なくない。それゆえ来年度からは、ネムリユスリカにおいてアンヒドロビオシスの分子レベルの研究を行っている研究室に所属を変更し、多様な実験技術を取り入れ状況の打開を試みる。
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