2013 Fiscal Year Annual Research Report
シンセティックジェットによる翼周りの剥離流れ制御に関する数値的研究
Project/Area Number |
13J08793
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 圭晃 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シンセティックジェット / 剥離制御 / レイノルズ応力 / Large-Eddy Simulation (LES) / 保存料保存性 / 一様流保持性 / 保存型メトリック / 移動変形格子 |
Research Abstract |
移動変形格子を用いた高次精度差分スキームの構築と検証を行った. 座標変換のメトリックを保存型に書き換え, 一様流保持・保存量保存性を両立するスキームを構築した. 評価式に空間対称性を導入すると精度及び安定性が向上する事が分かり, これを離散式の幾何学的解釈の観点から初めて解析的に説明付けた. また, 空間対称性を導入した保存型メトリックの考え方を高次精度非構造スキーム(FR法)にも応用し, 一様流保持・保存量保存性を両立する手法を新たに提案した. 構築したスキームを用い, シンセティックジェットによる翼周り剥離流れ制御の3次元LES (NACAOO15・レイノルズ数10の4乗程度)を行った. 研究計画に基づき, シンセティックジェットの駆動周波数を変化させた計算を行い, 無次元周波数で6程度の時に最も優れた剥離制御特性を示す事が分かった. この時, 翼面上には3次元性の強い乱流境界層が形成されるが, 駆動周波数に応じた位相平均を取る事で, スパン方向に軸を持つ大規模な2次元渦構造を抽出した. これらの大規模渦構造の周りで翼面近傍と主流の運動量交換を担う乱流混合の度合い(レイノルズ応力)が特に強い事が分かった. これにより, 大きな渦構造による運動量混合だけではなく, 3次元性の強い微細な渦構造が剥離流れの制御の鍵となる事を初めて定量的に示した. また, シンセティックジェットの誘起する流れを翼面上の2次元的な速度境界条件で模擬したモデルを用いた計算を行った. 境界条件モデルによる剥離制御時には, 翼面上で乱流遷移を生じず2次元性の強い渦構造が移流する付着流れを得たが, キャビティモデルで得られる付着流れよりも揚抗比の観点で劣った. これは, キャビティ由来の3次元性の強い流体変動が翼面上の乱流遷移に強く関係する事, 乱流遷移を伴わない剥離制御流れは空力性能が劣る事を示唆する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の計画の1つであった移動変形格子を用いた高次精度差分スキームの構築, 検証は終了している. また, 構築した計算コードを用いたLESを行い, 駆動周波数の変化による翼周り剥離流れの制御特性を取得した. さらに翼面上の大規模渦構造と運動量交換の関係を定量的に評価する位相平均を行うツールの作成と検証もおおむね終了した.
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Strategy for Future Research Activity |
現在, 特定の周波数が翼周り剥離流れの制御特性を向上させるメカニズムとして前縁近傍に形成される剥離剪断層の乱流遷移に着目し, 線形安定性解析(1次不安定性解析)を試みている. また, キャビティ由来の3次元撹乱に関連し, 翼面上の流れ場のスパン方向変動成分の位相平均・周波数解析を行っている. さらに, より乱流遷移を早め, 乱流強度を強めるのに最適な3次元変動を特定する全体安定性解析(2次不安定性解析)を行う予定である.
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Research Products
(7 results)