2013 Fiscal Year Annual Research Report
未知の選択肢の存在と会議における集団決定の理論的分析
Project/Area Number |
13J08835
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
置塩 健太 神戸大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 社会選択 / 投票 / 効率性 |
Research Abstract |
会議における決定において各参加者が一度だけ提案するとき、参加者が2人以上で選択肢の総数が3個以上ある決定において、どのような場合においても効率的な決定ができるような会議のルールが存在しないことを確認した。これは、今までの参加者が2人の場合のみ示されていた常に効率的な決定ができるような会議のルールが存在しないという不可能性が一般的に成り立つことを表している。投票における不可能性は各参加者の正直な投票と選ばれた選択肢に対する効率性、誰か1人の選好に従って決めることのない非独裁性の3つを満たすような投票ルールは存在しないといったものだが、本研究における不可能性では、決定の段階で独裁的に決定したとしても効率的な決定が出来ないことを示している。 提案を複数回許容した場合でも、常に効率的な決定ができるルールが存在しないことを確認した。複数回提案の方法は、各参加者順番に提案し、提案の内容は自分のアイデアの中からの選択かもしくはこれ以降提案しないという宣言とした。そして参加者全員がこれ以降提案しないと宣言した段階で終了とした。一度だけ提案する場合に効率性を達成できなかった理由が、ある参加者が他の参加者のアイデアに便乗して効率的な提案を隠してしまうことにあった。これを複数回提案させることで、解消することが出来ると考えられたが上のような複数回提案の方法では効率性を満たすルールを作ることは出来ないことを示せた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
一渡のみの提案における不可能性の一般化は示せたが、目的は効率性を満たすルールの策定およびそのルールの最適化である。そして、複数回提案することで効率性を満たすことができると予想していたが、ある提案方法では満たせない不可能性を示せただけであり、効率性を満たすような提案方法を確立できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
複数の複数回提案方法についてモデルを仮定し効率性を満たすものがないか確認する。もし存在した場合、そこから少しずつ改変しどのくらいの方法まで効率性を満たすことが出来るのか確認する。存在しなかった場合、一度のみの提案における不可能性定理としてでなく、さらに一般的な不可能性定理として示すことが出来るか研究する。
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