2013 Fiscal Year Annual Research Report
分解制御可能な人工ポリユビキチンの創製と細胞内機能解明
Project/Area Number |
13J08872
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥 彰彦 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ユビキチン / Native chemical liation / 2次元NMR |
Research Abstract |
本年度は、申請書年次計画に記した通り、四量体までの細胞内安定型人工ポリユビキチンのより効率的な創製法を見出すことを目的として実験を進めた。チオエステル体を用いた方法では、チオエステルが常に活性化した状態にある。そのため、native chemical ligationにより順次ユビキチンを連結させていく場合、タンパク質配列のC末端からN末端の方向へと反応を進める必要がある。申請者の研究で用いたクロスリンカーはN末端システイン構造を持つため、C末端側に活性化状態にあるチオエステルが存在すると、自己ポリマー化を起こしてしまうためである。これを防ぐために付加的なステップが必要となり、より長鎖のポリユビキチンの調製には困難が予想される。 そこで、Fangらによるヒドラジド体を用いる縮合^<[1]>の利用を検討した。この方法では、タンパク質-ヒドラジド体はそのままでは不活性な状態にある。しかし、亜硝酸ナトリウムを加え、低pH条件でヒドラジド体を活性型であるアジド体へ変換することにより、N末端システイン部分と反応できるようになる。これにより、N末端からC末端へのユビキチン鎖の伸長が可能となり、より簡便にユビキチン多量体を創製できると考えられる。大腸菌内で発現させたUb(K48C)-intein-CBD(ユビキチンK48C変異体とintein-chitin binding domain (CBD)の融合タンパク質)を粗精製後、chitin beadsに吸着させ、次いで、求核剤であるヒドラジンを加え、Ub(K48C)のC末端ヒドラジド体を得た。しかし、チオエステル体を調製する場合に比べてchitin beadsからの切り出し効率が悪いため、現在より効率の良い条件について検討中である。 また、すでに合成できたK48型の人工ユビキチン2量体に関して2次元NMRを測定した。得られたシグナルを野生型(WT)のユビキチン2量体のものと比較したところ、人工ユビキチン2量体のシグナルはWTのユビキチン2量体より単量体のものに近いということが分かった。この違いが何に起因するかについては現在調査中である。 [1] Fang, G. M. et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 50. 7645-7649 (2011)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
さらに効率的なNative chemical ligationの条件の確認等に時間を費やしたため、予定よりやや遅れた進行度合いとなっているが、この結果を基に研究を加速させ、26年度中に目的の達成を目指したい。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きNative chemical ligationの条件に関して検討を行う。また今までに合成したK48型に加え、in vitroの実験ではK48型と異なる構造をとることが報告されているいくつかの結合型のポリユビキチン(小胞体関連分解に関わるKll型、シグナル伝達に関わるK63型など)を創製する。 これらの合成した人工ポリユビキチンを全て蛍光ラベルし、CPPをコンジュゲートすることで、細胞内に導入可能かを確認する。CPPに関しても、アルギニンペプチドなどTatペプチド以外の膜透過ペプチドについても網羅的な検討を行い、より効率的に細胞内に導入できるような条件を探る。
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Research Products
(1 results)