2013 Fiscal Year Annual Research Report
組換えホットスポット活性化因子Prdm9の機能解析と抑制因子の探索
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13J08945
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 宏光 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 組換えホットスポット / 野生マウス / 減数分裂 / 相同染色体組換え |
Research Abstract |
昨年度までに本研究が達成した点として、野生マウス集団でのPrdm9遺伝子多型の全貌を明らかにし、論文として発表できたことがあげられる。この成果は国立遺伝学研究所に収集されているマウス標本とそのゲノムをもとに、組換えホットスポット活性化因子Prdm9の遺伝的多型を実験用マウス以外の個体にも拡大して調査することで、本遺伝子の集団内での動態を他の一般的な遺伝子や免疫関連の特殊な遺伝子などと比較し、既報の性質や機能が存在するのかを考察したものである。結果、本遺伝子は哺乳類の中でも最も多様的な部類に入ることが明らかとなったが、免疫関連遺伝子ほどの多型ではなく、亜種集団ごとに多型がまとまっている傾向もあったため、10万年を超える長い時間軸で見たときに集団内で多型的になる方向に選択圧がかかっていると考えられた。一方で、複数の亜種集団にまたがって分布しているような多型も散見されたため、既報の本遺伝子の「種分化遺伝子」的な性質には疑問点が残る結果となった。これらの多型解析は、本遺伝子の多型がタンパク質となったときのC-末端側Zinc fingerに集中し、かつその領域がゲノム上で単一エキソンにまとまっていることを利用して、ゲノムからPCR法を用いてクローニングを行うことにより配列決定したものであり、今後、多様な配列を導入した組換えマウスを作成しようとした際に、そのプラスミドクローンが使用可能である。現在そのコンストラクトが導入可能な配列をもった組換えマウスを作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に照合してみると、「Prdm9のノックインマウス」はDNAコンストラクトの設計などが終わり、ES細胞の組換えも行い、生体を得る最終段階である。「抑制因子探索」は再度、候補となる遺伝子を配列・多型解析から行うことにし、現在解析中である。抑制因子として有力な対象が見つかった場合に行うノックアウトマウス作成が、高効率で飛躍的に高速化される手法(CRISPR-Cas9システム)が普及しつつあるため、今後の研究計画の短縮が見込まれる。これを見越してより確実な候補の選定を行っているため、研究の遅れはほとんどないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
「Prdm9ノックインマウスの作成」、「抑制因子の探索」の2点を軸とし、計画通りに進める方針に変わりはないが、両者とも最終的に求める必要がある「組換え比率」を、マウスで検出する簡便な方法がまだ存在していない。従来は統計学的に有効な比率を求めるために1000匹を超えるマウスを産出させ、1匹ずつジェノタイピングを行って比率を求めていたが、これでは残り2年で研究を終結させることが難しい。そこで新規に、簡便な方法で確実な組換え比率を求める実験系を開発中である。
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Research Products
(2 results)