2014 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能ベクトル磁気探査による海底熱水循環系の構造と形成過程に関する研究
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13J08982
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 昌和 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 海底熱水循環系 / 深海磁気探査 / 火成岩の岩石磁気 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、深海底で取得したベクトル磁気観測手法と解析手法を確立し、岩石磁気学的研究と合わせて海底熱水系の磁気的性質を探るものである。海底熱水循環系の空間的な広がりの把握およびその形成過程を解明することが期待される。今年度は、昨年度に開発した絶対磁化強度推定手法および磁場観測記録の解析結果から明らかになったマリアナトラフの5つの熱水活動域の規模とその形成過程に関する論文を国際誌に出版した。また、中央インド洋海嶺に発達する海底熱水循環系周辺で採取された岩石の岩石磁気測定を行い、ミシガン州立大学において研究を進めた。その結果、しんかい6500により同熱水域で得られたベクトル磁力計記録が示した高磁化帯の起源を考察するにあたり重要な物質証拠と新たな知見を得た。現在、これらの結果と同熱水域の形成過程に関して論文を投稿準備中である。さらに、納沙布海底断裂帯および沖縄トラフ海底熱水循環系における自立型潜水艇を用いた深海磁気観測を実施し、観測記録の解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り進んでいる。初年度に確立したベクトル磁気観測手法と解析手法をマリアナトラフ海底熱水循環系で取得したデータに適用し、得られた成果を論文を国際誌に投稿し受理された。また、米国ミシガン州立大学においてインド洋海底熱水循環系における岩石磁気学的研究を進めて、磁気異常の解釈に重要な制約を得た。これらの成果に関して複数の国内・国際学会で研究発表を行った。得られた結果に関する論文を投稿準備中である。さらに、納沙布海底断裂帯における深海磁気観測を実施し、船体磁気補正方法などの観測手法について習熟した。良好な観測記録も取得し、現在解析を進めている。また、沖縄トラフ海底熱水循環系における深海磁気観測も予定通り実施し、取得した観測記録の解析を行った。海洋研究開発機構にて管理されている同熱水域周辺で採取された岩石を分取し、岩石磁気測定を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
深海磁気異常解析と岩石磁気測定により明らかとなったインド洋海底熱水循環系の形成過程に関して、国際誌に論文を投稿する。また、沖縄トラフ海底熱水活動域において自立型無人潜水機「うらしま」を用いた観測で得られた観測記録を解析する。さらに、この観測航海で取得した、海底地形データ、浅部地下構造データを解析し、磁場記録と比較し地質構造を考察する。採取した試料の岩石磁気学的研究を進める。以上の分析・解析・考察によって得られた知見に関する論文を国際誌に投稿する。
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Research Products
(8 results)