2013 Fiscal Year Annual Research Report
大型スーパーコンピュータを用いた大規模殻模型計算による中重核構造の研究
Project/Area Number |
13J08994
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
角田 佑介 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | モンテカルロ殻模型 / 変形共存 / 殻進化 / 不安定核 / 中性子過剰核 / 中重核 / 殻模型 / 原子核構造 |
Research Abstract |
中重核の性質とその起源を解明するために、スーパーコンピュータを用いた大規模殻模型計算による研究を行った。安定核から不安定核まで幅広い領域の核種を統一的に扱うためには広い模型空間を用いる必要があり、ハミルトニアン行列の厳密対角化による殻模型計算を行うのは計算資源の面から困難であるが、モンテカルロ殻模型法を用いることで広い模型空間での大規模殻模型計算を可能にした。モンテカルロ殻模型法ではスレーター行列式で表される基底の線形結合として各状態の波動関数を表すので、個々の基底の変形度を用いることで各状態の原子核形状の解析を行うことも可能である。 本年度はニッケル同位体に重点を置いて計算を行い、ニッケル同位体の励起状態のエネルギーについて実験をよく再現する結果が得られた。原子核形状の解析により、陽子数が魔法数28、中性子数が準魔法数40であるニッケル68で球形、オブレート変形、プロレート変形の3つの形状の変形共存が生じていることや、ニッケル同位体での中性子数の変化に伴う形状の変化について理論的に予言した。また、陽子数や中性子数の変化によって原子核の殻構造が変化する従来の殻進化(type I)とは異なる、核子の配位の変化によって殻構造が変化するtype II shell evolutionの概念を用いて、ニッケル68で変形共存が生じる理由を説明した。 本年度にはこれらのニッケル同位体に関する研究成果の論文が出版され、ニッケル68についての実験グループと共著の論文が出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ニッケル同位体の研究成果について実験グループと共著の論文が出版されるなど、実験分野への貢献もなされ、type II shell evolutionという新しい概念に基づく原子核構造の理解など、理論面での新たな進展もあったため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、pfg9d5模型空間におけるモンテカルロ殻模型計算と解析を行い、実験に先行した理論的予言および実験が困難な核種の性質の予言を行う。また、pfg9d5模型空間での計算で得られた知見に基づいて、模型空間を拡張しての計算や、異なる模型空間と有効相互作用を用いた他の領域の核種の計算を目指す。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Shape coexistence in 68Ni2014
Author(s)
S. Suchyta, S. N. Liddick, Y. Tsunoda, T. Otsuka, M. B. Bennett, A. Chemey, M. Honma, N. Larson, C. J. Prokop, S. J. Quinn, N. Shimizu, A. Simon, A. Spyrou, V. Tripathi, Y. Utsuno, J. M. VonMoss
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Journal Title
Physical Review C
Volume: 89
Pages: 021301 (R)
DOI
Peer Reviewed
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