2013 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児の言語発達における共感覚の機能解析と、教育への応用
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13J09022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 英子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 共感覚 / 時間スケール / 移動エントロピー / ネットワーク理論 / 培養神経細胞 / 言語発達 |
Research Abstract |
本研究は、共感覚現象と言語発達の関連を調べ、言語や算数の教育プログラムへの応用を目指すものである。共感覚とは、複数の感覚刺激が同時に感じられる感覚である(Baron-Cohen, 1996)。例えば、「文字を見ると色や性格を感じる」「音を聞くと色が見える」などがある。1)乳児の大部分が共感覚的な知覚をすること、2)小児期の発達において、文字に関する共感覚が変化することが示唆されているため(Wagner and Dobkins, 2011 ; Simnner, 2009)、乳幼・少児期における文字・言語の発達と共感覚には、深い関係があることが示唆されている。しかし、共感覚の発達における機能はこれまで調べられてこなかった。当該年度(平成25年度)は、1)共感覚が発達において自然に現れることを示す基礎理論構築、2)平成26年度に子どもを実験参加者とした実験を行うための予備調査を、以下の通り行った。 1)シャーレ上に培養された神経細胞が、自発的に発達する様子を解析した。これは発達の単純なモデルであり、共感覚現象と発達との関連について理論的な検証が出来る。神経細胞の活動を数週間にわたって記録し、発火パターンの変化を、移動エントロピーという指標を元に計算した。その結果、異なる時間スケールが多重的に発達することを示した。これは、異なる情報が一つのネットワークで処理されることを示しており、異なる種類の感覚が同時に感じられるという点で、共感覚と似ている。つまり共感覚が, 発達において自然に現れる現象であることを示唆しており、共感覚と発達との関連を単純なモデルで検証することが出来た。 2)上述の実験に加え、今年度(平成26年度)行う予定である行動実験の予備調査を行った。具体的には、小学4-6年生37名を対象に、共感覚者の割合を調べた。現在結果を解析中であり、今年度は実験参加者を増やし、本調査を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は行動実験による、実験的な検証のみを行う予定であったが、実際は、単純なモデルを作成することによる、理論構築まで達成することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、9.の欄に記した予備実験を元に、実験参加者の人数を増やし、本実験を行う予定である。 また、一連の実験により、共感覚の発達への役割を、理論・実験の両観点から明らかにし、学習効果を高めるための教育プログラムの開発を行う。
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Research Products
(6 results)