2014 Fiscal Year Annual Research Report
同位体大気海洋陸面結合大循環モデルとデータ同化手法を用いた気候変動に関する研究
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13J09182
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡崎 淳史 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 水同位体比 / 大循環モデル / スペクトルナッジング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は同位体大気海洋陸面結合大循環モデル(以下,同位体モデル)の開発と,その気候変動分野への応用である.今年度は,同位体モデルの開発およびデータ同化手法のひとつであるスペクトルナッジング技術の実装を行った.同システムを用いて現在気候(1980-1999年)のシミュレーションを行い,GNIP観測データと比較し,これを検証した.この結果,降水同位体比年平均値の全球分布について,ナッジングを行わない実験と比較し,再現性が向上することが確認できた.従来の海水温と海氷分布を外力として与える実験では,大気の振る舞いを十分に強制することができず,実際の観測と直接の比較をすることは妥当ではない.降水同位体比年平均値が,個々の降水イベントでもたらされる降水同位体比の積算値であることを考えると,ナッジングを行うことで実際の大気循環を再現できたため,良好な再現結果を得ることができたと考えられる. また,この同位体モデルを用いて中世温暖期(MCA)と小氷期(LIA)のシミュレーションを行った.外力にはCMIP5のLast Millennium実験として提出されたシミュレーションの海水温・海氷分布を用いた.シミュレーション結果と復元値について気温変化の空間パターンを比較したところ,MCA, LIA両時代について中程度の相関関係が認められた.一方で,同位体比の再現性はMCAについては気温と同程度であったのに対して,LIAにおいては気温の再現性に比べて著しく小さかった.この結果は,同位体モデルは現在とLIAの同位体比の変化を再現できないことを示唆するが,気温復元の不確実性や,現在気候における同位体比の再現性を考慮すると,モデルの同位体を扱う物理過程に問題があると結論付けることは難しい.観測データ・プロキシが豊富に存在する19世紀と20世紀において,より詳細に同位体モデルを検証する必要があるだろう.
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)