2014 Fiscal Year Annual Research Report
知識のグローバル・ローカル結合と研究開発機能の空間的分業に関する地理学的研究
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13J09269
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鎌倉 夏来 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 工業地理学 / 研究開発機能 / 空間的分業 / 多国籍企業 / 化学産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
論文の公表状況について、まず昨年度から投稿していた化学企業についての研究成果について新たな考察を加え、公表した。また化学企業の分析に加え、国内の製造業の立地についての理解を深めるため、広域関東圏における産業集積地域についての分析を行った。具体的には、工業統計メッシュデータを用いた集積の範囲の特定と政策効果について検討し、この成果について学会誌に投稿し、公表した。 国内のフィールドワークについては、主に7月から8月にかけて日系化学企業の本社を複数訪問し、研究開発部門の担当者から海外における研究開発の実施状況と国内の立地について聞き取り調査を行った。 海外のフィールドワークについては、まず9月から10月にかけて中国(青島)、韓国(オソン)、台湾(雲南)、タイ(ラヨーン)、シンガポールで、11月にアメリカ(サニーヴェール、フィラデルフィア、ヒューストン)で調査を行った。9月から10月にかけての調査では、各国に立地している日系化学企業を訪問し、現地代表や研究開発部門の責任者から現地での研究開発活動の実施状況について聞き取り調査を行った。各社について3時間から2日に渡って詳細な聞き取りをさせて頂いたことにより、本研究において貴重な情報を得ることができた。 11月の調査においては、サニーヴェールとヒューストンで、上記のアジアでの調査と同様に日系企業に対する聞き取り調査を行った。また調査の間にワシントンDCにおいて学会発表を行い、現地の地域科学の専門家との交流を深めた。さらにフィラデルフィアのChemical Heritage Foundationにおいて化学産業についての資料調査を行った。 これらの内容に基づき、3月の日本地理学会春季学術大会において研究発表を行った。現在は各発表において得たコメントを基に、博士論文の執筆を進めている
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、修士論文で取り上げた化学企業の研究成果及び1年目の研究成果に基づき、学術雑誌に投稿する論文を執筆した。投稿した論文については、全て受理・掲載がなされている。また国内およびアジア各国、アメリカにおいて日系化学企業、現地の関連機関に対するインタビュー調査を実施し、資料収集も並行して行った。これらの成果を早い段階でまとめ、11月、1月、3月に学会発表を行い、国内外の研究者から広く意見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題として、まず初年度から継続的に取り組んでいる統計分析のためのデータベースを完成させ、化学企業を中心とした多国籍企業のグローバルR&Dについてマクロな視点からの分析を行う。また、昨年度訪問することができなかった地域を中心に、国内外でのフィールドワークを実施し、国内外の拠点間における知識フローについての情報収集を行う。国外については、中国の上海市での調査を計画している。これらに並行して、多国籍企業における研究開発機能のグローバル化に関する経済地理学的分析の理論的検討を行い、上記の結果をまとめて博士論文を執筆する。
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Research Products
(6 results)