2013 Fiscal Year Annual Research Report
フランスにおける発電エネルギー源選択の歴史的変容--石炭・石油・原子力--
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13J09331
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豆原 啓介 東京大学, 大学院経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 経済史 / エネルギー政策 / フランス |
Research Abstract |
本研究の目的は高度成長期のフランスにおけるエネルギー政策の実態について、特に発電エネルギー源選択をめぐる問題を中心に明らかにすることである。現在は原子力大国として知られるフランスであるが原子力発電が主たる発電エネルギー源となったのは70年代半ば以降のことであり、戦後フランスのエネルギー政策史は決して単線的な原子力発展史にのみ還元できるものではない。他方、戦後から高度成長期における電力政策研究はフロストによる研究に代表されるように電力公社の活動を対象としたものが多く、その焦点を政府に当てた研究は非常に限定的である。本研究では戦後のフランスにおいてエネルギー政策の基本方針の立案・策定を担った計画庁エネルギー委員会の一次史料を中心に検討することで、当該期におけるフランス政府が石炭火力、石油火力、水力などの複数の電力エネルギー源をいかに適切に組み合わせることでフランス経済全体にとって最良の解を導こうとしたのか、検討を試みる。また他方で石炭業、石油業が政府の政策に対していかに反応したかについても検討し、政府・企業間の相互連関の把握も試みる。 特別研究員初年度にあたる2013年度は主に第一次近代化計画(1946-52)および第二次近代化計画(1954-57)におけるエネルギー関連委員会の決定事項および活動内容について、フランス国立文書館ピエールフィット館に所蔵されている計画庁史料の収集およびその分析に充てられた。並行して石炭公社および石油企業の史料の収集も実施した。また石炭火力の運用実態を把握するために戦後の石炭流通について調査した結果を日仏経営学会誌に投稿し、査読ののちに受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的に従って、高度成長期のフランスのエネルギー政策について、特に電力エネルギー源に着目しながら研究を進展させることができた。特にエネルギー委員会の活動およびその決定について一次史料を検証したことは研究の大きく進展させた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き国立公文書館ピエールフィット館に所蔵されている計画庁エネルギー委員会の史料の収集およびその検証に努める。特に第三次近代化計画(1958-62)以降の計画庁エネルギー委員会による電力エネルギー源選択に関する議論・決定に注目して検証を進める。またこの作業と並行して産業界資料センターに所蔵されている石炭公社史料およびトタル本社に所蔵されている石油企業史料を収集・検証し、政府のエネルギー政策に対してこれらの企業がいかに反応したかについて検証を進める。
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Research Products
(1 results)