2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J09343
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮本 裕平 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 有限温度の場の量子論 / 宇宙論 / 相転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
私は高温状態の初期宇宙での非平衡物理を重力波で探るため、大きく2つの研究を行った。第一の研究は高温状態の場の量子論の基礎研究である。初期宇宙の非平衡過程をより正確に記述するために、極初期宇宙に実現されていたとされる高温状態下におけるスカラー場の振る舞いについて研究し、新たな知見を得た。注目するスカラー場が他の場と相互作用することで散逸と揺動と呼ばれる2つの効果が生じるが、私はとりわけゲージ場と相互作用するスカラー場の振る舞いについて研究した。これにより、これまでは相互作用する場がフェルミオンやスカラー場の場合について揺動散逸関係が確認されていたが、さらに一般的な状況を考察することが可能になった。第二の研究は熱的インフレーションに関するものである。熱的インフレーションとは宇宙の再加熱以降に起こる可能性のある短い加速膨張期を指し、重力波源ともなりうる興味深い現象である。私は有限温度の場の量子論に基づいてこの現象のより正確な描像を与えることに取り組んだ。有限温度の場の理論を用いて導出した運動方程式から、まずは解析的に予想を立て、次いで数値計算を行うことでこの予想を確認することができた。これにより、宇宙の膨張史における熱的インフレーションの役割は従来の記述で十分であるが、大きな重力波源とはなり得ないことを示した。つまり、熱的インフレーションの終了はトンネル現象による一次相転移であると考えられてきたが、熱的揺動効果によりcross over型の相転移になることが私の研究で明らかとなった。 私は上記の研究に加えて、宇宙ひもと呼ばれる位相欠陥の研究も行った。インフレーション中に生成される宇宙ひもはインフレーション後に生成されるものに比べて初期相関長が長くなるため、宇宙背景放射のゆらぎに与える影響は明らかでなかった。私は数値計算を行うことでこのゆらぎの定量的な評価を行った。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)