2013 Fiscal Year Annual Research Report
Belle実験におけるτ粒子の電気双極子モーメント(EDM)の測定
Project/Area Number |
13J09443
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
有田 義宣 名古屋大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 素粒子実験 / タウ物理 |
Research Abstract |
■研究の具体的な内容 本研究の目的は, 未発見のタウ粒子の電気双極子モーメントを測定し, 素粒子標準理論の精密測定によるその検証および標準理論からのずれを生む新物理の兆候を発見する事である. レプトンのEDMは世界的にも精力的に測定されているが, その中でタウ粒子は寿命が非常に短いために測定が難しく, 電子, μ粒子に比べればまだ測定の歴史は浅く感度ももっとも悪い. タウのEDMは理論的には, 1. レプトンセクターでのCP対称性の破れ, 2. 超対称性模型における新粒子による寄与, の証明になると予想されており, もっとも質量の大きいレプトンである事によってEDMの影響が他のレプトンに比べて大きく現れる可能性がある. 本研究では, 過去に行なわれた世界最高感度の測定を更新し, これまで0(10^-17)ecmだった測定上限を一桁改善し, 世界最高感度に到達することができる. そのためには測定のための手法の確立とともに, 系統誤差についてよく理解し, 統計誤差レベルのレベルまでに抑制する必要がある. ■研究実施状況のまとめ 研究の実施状況としては, タウ粒子の電気双極子モーメント(EDM)の測定を行なうためのソフトウェアの作成や手法の確立は完了した. これによって実験データからEDMの中心値を計算する事は可能な状態である. 残る課題は「系統娯差を統計娯差と同等までに抑制する事」だが, 現在は系統誤差の評価を行ない, どの要素を改善するべきかを明らかにした段階である. 今後は系統誤差の原因となる項目について抑制する方法を開発し, 系統誤差を抑え, 世界最高感度でのEDMの測定を目指す. 研究の計画と比較すると, 当初「K粒子を含む崩壊モードを用いて測定を行なう」予定だったものを研究スピードを優先して行なわないと判断したという部分はあるものの, その他の項目については予定通りに進んでいる. ■研究による成果 本研究の途中経過は国内の研究会などで合計6回発表し, 日本物理学会でも一度報告を行なった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の計画と比較すると, 当初「K粒子を含む崩壊モードを持ちいて測定を行なう」予定だったものを研究スピードを優先して行なわないと判断したという部分はあるものの, その他の項目については予定通りに進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は系統誤差の原因となる項目について抑制する方法を開発し, 系統誤差を抑え, 世界最高感度でのEDMの測定を目指す.
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Research Products
(1 results)