2014 Fiscal Year Annual Research Report
スピン自由度を持った素励起の量子力学的スピン輸送現象・ホール効果の研究
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13J09588
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井手上 敏也 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | スピン軌道相互作用 / 極性半導体 / 圧力効果 / 熱電効果 / 熱ホール効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、極性構造を持つ半導体BiTeIおよび磁性絶縁体(ZnxFe1-x)2Mo3O8における輸送現象の研究に取り組んだ。BiTeIの圧力効果について昨年度に得られていた知見を論文としてまとめると同時に、様々なキャリア数を持つ試料での熱電効果測定を進め、熱電効果の磁場依存性や量子振動の位相がフェルミ面のトポロジーを反映してバルクディラック点上下で定性的に変化することを明らかにし、特に3次元的なラシュバ型バンド構造の状態密度変化によってその起源を説明することに成功した。本研究で考案した量子振動の解析手法や熱電効果を用いたフェルミ面トポロジーのプローブ方法は、一般の空間反転対称性の破れた系におけるトポロジカル相研究にも有用である。 また、(ZnxFe1-x)2Mo3O8において観測されていた巨大な熱ホール効果について実験・議論を進め、磁性絶縁体における新しいメカニズムのホール効果の解明に取り組んだ。低温でのヒステリシス効果の観測に成功すると共に、比熱測定を行うことにより、スピンに加えて格子の熱輸送が本質的であることを明らかにした。スピン・格子相互作用を考えることにより、熱ホール効果と電気磁気効果を関連付けると同時に、反対称性の破れた磁性絶縁体において巨大な熱ホール応答を得るための新しい機構の可能性を示し、スピンカロリトロニクス研究における重要な学理を構築した。さらに、同物質とPtとの界面抵抗が二つの反強磁性ドメインによって異なる磁場依存性を示すことを発見した。これは反強磁性/Pt界面での新規スピン輸送存在の可能性を示唆している。異なる反強磁性ドメインの新規観測手法を確立したとも言え、今後、界面における非相反スピン輸送現象や外場によるドメイン制御と新規界面磁気抵抗効果による観測等、研究の飛躍的進展が期待できる。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)