2014 Fiscal Year Annual Research Report
木材腐朽菌の進化史:未知系統の探索と宿主材への適応から紐解く多様化過程
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13J09680
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
白水 貴 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 木材腐朽菌 / 多様性 / 未知系統 / 子実体採集 / 分離培養 / 環境DNA解析 / 効率的探索法 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度中に確立した木材腐朽菌類の効率的分離培養法に関する解析と論文執筆を行った.真菌類の多様性調査法は,古くは子実体採集(FBC)に始まり,培地を用いた分離培養(CI),環境DNA解析(EDA)と,技術の進歩とともに発達してきた.これらの方法にはそれぞれ利点と欠点があり,一つをもってある生態系における全真菌類を把握することは困難である.本研究では,腐生菌の多様性を効率的に探索する方法の確立を目的とし,FBC,CI,EDAの比較を行った.木材腐朽性担子菌であるアカキクラゲ綱を対象とし,筑波山のアカマツ林(40×40m)にて1年間毎月調査を行い,アカキクラゲ様子実体(FBC),およびアカマツ腐朽枝を採集した.腐朽枝は粉砕後,湿式振とうふるい機にかけて大きさ100-200umの粒子を回収した.粒子は洗浄後,麦芽寒天培地入りのマイクロプレート(48ウェル×132枚)に1ウェルあたり2粒子ずつ分注して培養し,出現したアカキクラゲ様コロニーを分離した(CI).また,腐朽枝の粒子1gからDNAを抽出し,28S rRNA遺伝子領域を増幅後,DNAクローニング(腐朽枝132本×10クローン)を経て配列を決定した(EDA).結果,FBC,CI,EDAにて11,10,16 OTUが得られ,このうち4,4,6 OTUがそれぞれの方法でのみ検出された.すなわち,3つの方法は多様性探索において相補的であった.また,FBCの新規OTU検出数は10回目の調査でほぼ飽和し,CIとEDAでのみ未知の初期分岐系統が3つ検出された.このことから,FBCでは重要な系統を見落としている可能性がある.これらの未知系統に対しては, EDAによる1次調査とCIによる2次調査の2段階調査により,検出効率を最大化できると考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り野外調査と実験,解析を終え,論文投稿することができた. 予定以上の成果が得られたわけではないため,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に確立したきのこ類の多様性探索法を活用し,様々な生態系から菌類の未知系統を収集する.また,未知系統が多数潜在していると考えられる南半球での調査を行う.得られたサンプルを用いてRAD-seqを活用した系統推定を行い,より信頼性の高いアカキクラゲ系統樹の構築を目指す.
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Remarks |
研究対象であるアカキクラゲ類のオンライン図鑑を作成した.
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Research Products
(4 results)