2014 Fiscal Year Annual Research Report
一分子計測による回転分子モーターF型ATP合成酵素の回転機構の解析
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13J09730
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
曽我 直樹 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | F型ATP合成酵素 / バイオセンサー / 生体膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ATP合成酵素FoF1(以下、FoF1)のH+輸送と回転運動の共役機構解明を目的としている。これを行うにあたり、FoF1のH+輸送と回転運動の同時観察が有用な手段と考えられる。しかし、これまでに回転運動を可視化する実験系は多数開発されてきた一方で、FoF1等のイオン輸送速度が極めて遅い膜輸送体一分子によるイオン輸送の観察は技術的に困難とされ、成されてこなかった。そこでまず、FoF1一分子のH+輸送活性測定系の開発を行った。微小加工技術を用いて、ガラス上に数fL程度の微小孔がアレイ化されたマイクロデバイスを作製し、その微小孔を脂質二重膜で閉じる事で、微小な資質二重膜チャンバー(ALBiC)を形成した。その形成効率は~99 %と非常に高効率であった。FoF1の再構成後、ATP添加によりH+輸送を行わせたところ、反応開始から幾つかのチャンバーからH+が輸送された事を示す明確なシグナルが見られた。また、H+輸送速度のヒストグラムにおけるピークそれぞれが等間隔に並ぶ事より、再構成されたFoF1の分子数を反映していると考えられる。よって、初めてトランスポーター蛋白質一分子によるイオン輸送活性の定量計測を行えたと結論づけた。 また、上述のALBiCには測定時間が極めて長い事から回転運動との同時観察が難しいと考えられる。そこで、体積の減少による測定時間の減少を図った。チャンバー径を減少した場合、体積が効率的に減らせる一方、脂質二重膜の面積が減少し膜輸送体の再構成効率が低下することが予想される。そのため、チャンバー高を低くし、膜輸送体の再構成効率を保持しつつ体積の減少を行った。結果として、α-hemolysinの受動輸送活性計測における計測時間は体積と反比例の関係にある事を証明し、膜輸送体活性の検出時間を数千秒から数百秒という10倍以上短縮することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに膜輸送体一分子の輸送活性高感度検出が可能な実験系を開発し、回転観察との同時観察を見据えたデバイスも開発した。これまでは予定通りに進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度開発したチャンバー高が低い(~30 nm)を用いて回転観察を行っていく予定である。回転観察が確認出来次第、同時観察に移行していく予定である。
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Research Products
(8 results)