2013 Fiscal Year Annual Research Report
Vigna属野生種の栽培化によるストレス耐性作物の開発およびその迅速化
Project/Area Number |
13J09808
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
高橋 有 独立行政法人農業生物資源研究所, 多様性活用研究ユニット, 特別研究員(PD)
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Keywords | Vigna / Neo-domestication / 人為突然変異 / 栽培化 / 種子大型化 / 裂莢性 / 休眠性 / Vigna stipulacea |
Research Abstract |
本研究の目的は、劣悪環境に生息しているマメ科野生種を栽培化することによって、高いストレス耐性をもつ新型作物を開発することにある。この過程をNeo-domesticationと呼んでいる。当該年度は以下の3つの研究に取り組んだ。 ①野生種の栽培化 病虫害に強く2ヶ月で世代更新できるVigna stipulaceaについて、EMS処理後2回自殖して得たM2世代1588系統各6個体を栽培して人為突然変異の表現型選抜を行った。その結果、種子大型化、難裂莢性、わい性、色素変異を選抜できた。この成果はNeo-domesticationの実現可能性を示している。 ②栽培化遺伝子の同定 人為突然変異の表現型選抜は莫大な労力を要するため、逆遺伝学的手法によってNeo-domesticationを達成するために難裂莢性を支配する遺伝子の同定を試みた。アズキと野生種の雑種BC3F3世代4222個体からQTL領域の組み換え個体を選抜した。選抜した個体を栽培して表現型を調査したところ、候補領域を10Kbまで絞り込んだ。この領域には単一の遺伝子が存在しており、現在、企業に委託して、アグロバクテリウム法による相補実験を行っている。 ③遺伝学研究基盤の構築 逆遺伝学的手法によるNeo-domesticationに用いる遺伝子を評価するために簡便な形質転換法が求められる。このため、ウイルス誘導ジーンサイレンシング(VIGS)を外部研究者に委託した。ケツルアズキにおいてリンゴ潜在性ウイルスの感染を確認し、Vigna属でもVIGSが利用可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Vigna属野生種におけるNeo-domesticationの実現可能性を示した。また、アズキの難裂莢性に関与する候補遺伝子を同定し、逆遺伝学的手法によってNeo-domesticationを行う準備を整えた。この成果はすでに学術論文を投稿するレベルに達しており、当初の計画以上に進展している。ただし、このほかに予定していた配偶体培養による突然変異誘発の効率化への取り組みは遅滞しているため、達成度を上述の区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
Neo-domesticationの実現可能性が示されたため、同様の人為突然変異処理を繰り返して、より優良な系統を選抜する。特に、人為交配によって変異を蓄積することで、さらなる種子大型化を目指す。さらに、当該年度に同定したアズキの難裂莢性遺伝子にっいて、逆遺伝学手法を用いてVigna stipulaceaのNeo-domesticationを試みる。このために次世代シークエンサーを用いた突然変異検出法を検討する。
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