2014 Fiscal Year Annual Research Report
Vigna属野生種の栽培化によるストレス耐性作物の開発およびその迅速化
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13J09808
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
高橋 有 独立行政法人農業生物資源研究所, 多様性活用研究ユニット, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Neo-domestication / 遺伝資源 / Vigna属 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝資源の導入:多様な環境に適応している野生種はNeo-domesticationの対象と成り得る。このためカンボジア北西部において遺伝資源の探索・収集を行った。その結果、Vigna属とGlycine属を含む6種50点の種子を収集することができた。その中で作物であるツルアズキ(V. umbellata)とV. minimaの雑種と考えられる植物を発見した。V. minimaは乾燥耐性に優れることから、この雑種は乾燥ストレス耐性作物開発の遺伝資源として利用が期待される。
Neo-domesticationに用いる遺伝資源の評価:Vigna属の野生種と栽培種を含む71アクセッションについて核DNAのITS領域と葉緑体DNAのatpB-rbcL遺伝子間領域の塩基配列に基づいて分子系統解析を行った。その結果、Vigna属野生種間の系統関係が明らかになり、作物であるモスビーン(V. aconitifolia)の祖先野生種を同定したほか、リョクトウ近縁野生種の分類を改めることができた。また、石灰岩山で発見された野生種が種間雑種に由来することを示唆した。
逆遺伝学的手法によるNeo-domestication:病虫害に耐性の野生種V. stipulaceaについて、2度のEMS処理を施したM2M2世代2112系統を得た。M2M1植物において全個体からDNAを抽出し、これを鋳型として、昨年度までに同定した種子大型化遺伝子(MOG)および難裂莢遺伝子(TIP)をPCR増幅し、96系統ごと22のバルクグループに異なるインデックス配列を付与してIllumina社のMiseqで塩基配列を決定した。その結果、MOGの終止コドンが消失した変異アリルおよびTIPの開始コドンが消失した変異アリルを検出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的は、Neo-domesticationのテストケースを示すことに加え、その迅速化技術を確立することである。本年はV. stipulaceaのEMS突然変異集団から次世代シークエンサーを用いた逆遺伝学的手法により目的遺伝子の変異を検出することができた。この結果は、Neo-domesticationの迅速化技術として逆遺伝学的手法を利用できる可能性を示唆している。また、選抜された個体が目的の変異を示せばNeo-domesticationのテストケースを示すことが出来る。このため、本年までの研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、これまでに育成したV. stipulaceaのM2M2世代2112系統各6個体を栽培している。これらの中から種子大型化・難裂莢性・非休眠性に変異した個体の選抜を試みる。選抜した個体は後代において詳細な形質評価を行う。
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Research Products
(5 results)