2013 Fiscal Year Annual Research Report
骨・軟骨形成における、一次繊毛関連蛋白BBS3の分子機能解析
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13J09828
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
川崎 真希理 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 一次繊毛 / Bardet-Biedl Syndrome / 骨芽細胞 / 軟骨細胞 / ヘッジホッグシグナリング |
Research Abstract |
骨の細胞において、動的な細胞外マトリックスからの化学的・力学的情報を細胞内へ伝えるメカニズムは、多くの研究から明らかになりつつある。昨今、骨・軟骨形成や代謝における一次繊毛の役割が注目されている。一次繊毛は、骨芽細胞・軟骨細胞を含むほ乳類のほとんどの細胞に存在する細胞小器官であり、Hedgehog (Hh)シグナルやWntシグナルを初めとする様々な細胞内シグナルに関与すると共に、細胞外の力学的負荷を感知するメカノセンサーとして働くことも示唆されている。現在までに、一次繊毛の存在が正常な軟骨内骨化や力学的負荷の骨形成促進作用に必要とされることが報告されているが、一次繊毛を介した細胞内シグナル伝達のメカニズムについては、未だ不明な点が多い。本研究では、一次繊毛関連タンパクBardet-Biedl Syndrome (BBS)に着目し、骨芽細胞・軟骨細胞においてBBSタンパクを介した一次繊毛の働きを明らかにすることを目的としている。 平成26年度の研究より、胎生期18.5のBbs3 KOマウスの胸骨上下のズレが観察された。また、頭部のμCT解析より、Bbs3 KOマウスは頭蓋顎顔面領域における変形が観察された。胸骨の上下のズレは、一次繊毛内関連モータータンパクの構成ユニット、Kif3aのコンディショナルノックアウトマウスにおいても観察される(Dev Biol, 2007 Sep 15 ; 309 (2) : 273-84)。また、Wntシグナルの阻害因子Gsk 3betaのノックアウトマウスでも胸骨の不完全融合とズレが観察される(Nature, 2007 Mar 1 ; 446 (7131) : 79-82)。これらのことから、Bbs3を介した一次繊毛の機能は、HhシグナルやWntを制御することが考えられる。HhシグナルおよびWntシグナルにおけるBBSタンパクの関与は以前から示唆されているが、そのメカニズムについては未だ明らかになっていない。他のBBSノックアウトマウスでは、骨格形成を検証した報告はないため、Bbs3 KOマウスに観察された胸骨と頭蓋顔面の表現形を明らかにしたのは、本研究が初めてである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、Bbs3マウスおよびBbs1 floxマウスのバックグラウンドの均一化は完了しており、Bbs3-/-マウスすでに解析を開始している。Bbs1コンディショナルノックアウトマウスは、現在骨解析を始める段階にある。培養細胞を用いた実験では、Bbs3がヘッジホッグシグナルを正に制御することを示す予備的な実験結果を得ている。Bbs3-/-マウスの生後致死が、生後の骨の解析を阻んでいるが、全体的には概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はBbs3-/-マウスの頭蓋顎顔面領域における表現形を、μCT解析・骨格標本により明らかにしていく。また、Bbs3 KOマウスの出生後致死の解明をすすめると同時に、兄弟の間引きや里親の供給などによりBbs3-/-マウスの出生後生存率を上げ、生後の骨の解析の実現を目標とする。 Bbs1コンディショナルノックアウトマウスの骨解析は、8週齢のマウスを用いて行う。 In vitroでは、培養骨芽細胞MC3T3-E1および軟骨細胞ATDC5を用い、Bbs3のノックダウン条件下におけるWntシグナルへの応答性を評価する。
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Research Products
(2 results)