2013 Fiscal Year Annual Research Report
エチニルピリジンオリゴマーが構築する超分子構造の観測と応用
Project/Area Number |
13J09859
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大石 雄基 富山大学, 大学院医学薬学教育部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ピリジン / フェノール / オリゴマー / 糖認識 |
Research Abstract |
エチニルピリジン大環状分子を利用して、糖分子の通過を化合物選択的に制御する人工チャネル系の実現を目指した。 大環状分子の環化前駆体として、ピリジンとフェノールが交互にアセチレンを介して3つづつ連結した鎖状のピリジン-フェノール6量体(6-mer)を合成した。この6-merは溶液中でピリジンとフェノールが水素結合することで自己会合を起こし、環化反応に有利なコンフォメーションを形成できない可能性が考えられた。そこでまず、6-merの自己会合能について調査を行った。重クロロホルム中、濃度を様々に変更して6-merの1HNMRスペクトルを測定したところ、濃度が高くなるにつれ芳香族領域のプロトンが高磁場へとシフトした。芳香族プロトンのケミカルシフトの変化から6-merの自己会合定数は80L/mo1であると見積もられ、1.0×104<-4>以下の濃度では自己会合体がほとんど存在しないことが明らかとなった。 続いて、鎖状オリゴマーの糖認識能評価を行った。6-merと、ピリジンとフェノールを6つづつ持つ12-merそれぞれのクロロホルム溶液にドデシルβ-D-マルトシドを添加していったところ、370nm付近に6-merでは正のCDが、12-merでは負のCDが誘起された。これは、オリゴマーの長さの違いにより、マルトシドとの会合により形成されるらせんの向きが反転していることを示している。それぞれのオリゴマーのマルトシドとの会合定数をCDスペクトルの滴定実験により算出したところ、6-merは2×10 <-4>L/mol、12-merは7.0×10^<-6>L/molであるとわかった。12-merとマルトシドは非常に会合が強く、水素結合が効率的に形成できていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
環化反応に有利なコンフォメーションを形成する環化前駆体であるピリジン-フェノール6量体を合成した。また、合成したオリゴマーが疎水性溶媒中において糖分子と非常に強く会合することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
合成したピリジン-フェノール6量体を用いて、効率的な環化反応の条件検討を行う。合成した環化体の水中または疎水性溶媒中での自己会合、糖認識能について、DLS, VPO, IHNMR、UV、CD、蛍光測定により解析を行う。また、形成される超分子構造の形態をAFM、SEM、TEM測定により解析する。糖分子や酸、塩基などの添加物による、環化体の超分子構造の形態の変化についても詳細に検討を行う。
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