2014 Fiscal Year Annual Research Report
エチニルピリジンオリゴマーが構築する超分子構造の観測と応用
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13J09859
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大石 雄基 富山大学, 医学薬学研究部, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ピリジン / フェノール / オリゴマー / 糖認識 / 固液抽出 / 液液抽出 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖を認識する人工ホスト分子を利用して、化合物選択的な糖分子チャネルの実現を目指した。 糖分子と強く会合する分子として、ピリジン環とフェノール環が交互にアセチレンを介して連結したピリジン-フェノール交互型オリゴマーを設計、合成した。この分子は糖分子と多点のpush-pull型の水素結合を形成することで強く会合し、キラルならせん構造を形成すると期待した。具体的には、ピリジン環とフェノール環を6ユニットづつ有する12-merを合成した。 12-merの糖との会合をUV, CD, 蛍光スペクトルを用いて評価した。1,2- ジクロロエタン中、octyl b-D-グルコシド (b-Glc) の滴定実験から b-Glcとの会合定数は、10の7乗程度と見積もられ、その会合は非常に強いものであることが分かった。また、12-merと他のoctyl糖(マルトシド、マンノシド、ガラクトシド、フルクトシド)との会合も同様に調査した。滴定実験により各糖分子との会合定数を算出したところ、どの糖分子も12-merと高い会合定数を示すことが分かった。しかし、フルクトシドとの会合定数は二乗程度、他の糖分子に比べると低く見積もられた。これは12-merの糖分子との会合には選択性があることを示している。 また、12-mer を用いて糖の輸送実験を行った。 U字管の下層に12-merの重クロロホルム溶液、上層の片側に何も溶解させていない重水、反対側の上層にグルコース、マンノース、フルクトースの水溶液をそれぞれ入れ、油層を84時間撹拌した。その後、何も溶解させていなかった重水の1H NMRを測定したところ、グルコース、フルクトースに比べ、マンノースが多く輸送されていることがわかった。この選択性のある輸送能は、化合物選択的な人工チャネルの実現を期待させるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖分子と強く会合できるピリジン-フェノール交互型オリゴマーを開発した。また、このオリゴマーを用いた糖の輸送実験では、糖の種類によって輸送する速度に差が生じることが明らかとした。
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Strategy for Future Research Activity |
ピリジン-フェノール交互型オリゴマーをベシクル中へと導入し、様々な糖の輸送能を評価する。また、芳香環 4 位の置換基を両親媒性のものに変更し、置換基が輸送能に与える影響について調べる。ピリジン-フェノール大環状分子も同様に合成し、その輸送能を評価する。
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