2014 Fiscal Year Annual Research Report
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13J09997
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
大橋 勢樹 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 重力理論 / ブラックホール / インフレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は最も一般的な複数スカラー場+重力理論の完成を目指すとともに、その理論の範疇でブラックホール時空の基本的な性質であるブラックホールの時空の無毛定理・唯一性定理が成立する条件や、その定理の適応範囲外での厳密解構成を主に行った。 最も一般的な重力理論に関しては、宇宙初期に起きたとされるインフレーション期を実現するモデルのほとんどが幾つかのスカラー場を含んでいるが、これらを統一的に扱うモデルを構築し理解を得ることが一つの目的であった。これまでにいくつかの理論が最も一般的な理論として提唱されたがことごとく失敗しているが、本研究で二つのスカラー場を含む最も一般的な重力理論の構築に成功した。 さらにその理論の部分系でのブラックホール時空の基本的性質である、ブラックホールの唯一性定理・無毛定理の研究も行った。結果として重力場のエネルギーが定義できる部分系においては、時空が動的でなければ無毛定理・唯一性定理が成立することを明らかにした。さらにその反例として、定理の適応できない系に関して厳密解が構成できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インフレーションモデルを統一的に記述する理論として、スカラー場を含む最も一般的な重力理論の構成を目指していたが、今年度2つのスカラー場を持つ場合に関してはその構成に成功した。この理論は非常に幅広い応用を含んでおり、本研究は成功したといえる。 さらに一つの応用例として、本理論の部分系である理論でのブラックホール時空の基本的性質の研究も行った。この研究は、この理論の理解を得る上で有意義で研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は昨年度までに構成したスカラー場+重力理論の更なる理解を得る事を目指す。それに加えて、重力崩壊現象における特異点形成を数学的手法を用いて明らかにする事を目指す。 最も一般的な二階の複数スカラー場+重力理論に関しては、技術的な観点から2個のスカラー場の拡張にとどまっているが、様々な応用の観点から任意個のスカラー場の理論への拡張可能性を吟味する。また理論をブラックホール時空と宇宙論へ応用し理論のさらなる理解を得る。ブラックホール時空に関しては、通常のアインシュタイン重力理論と比べて時空を歪めるか、歪めるならどのように歪めるかを中心に研究する。宇宙論に関しては様々のインフレーション理論を統一的に扱うモデルとして、種々の物理量を計算するテンプレートの提供を行いたい。 重力崩壊現象における特異点形成に関しては、高次元時空での重力崩壊で形成された特異点が無限遠方の観測者から見えるかについて議論したい。特異点が観測できる場合、その理論の破綻を意味するためこの点を明らかにすることは理論の妥当性を保証する上で非常に有意義である。この研究に関しては数学的曖昧さなく、厳密な証明を与えることを目指す。
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Research Products
(3 results)