2013 Fiscal Year Annual Research Report
神経幹細胞におけるDll1の局在制御による未分化性維持細胞選択機構の解明
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13J10011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河合 宏紀 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Notch / Dll1 / 神経系前駆細胞 / 膜タンパク質 |
Research Abstract |
複雑な脳を発生の過程で正確に構築するためには、神経系前駆細胞が未分化な状態を維持しながら増殖を繰り返すとともに、一部の細胞だけがニューロンへと分化することが必須である。しかしながら、神経系前駆細胞の中でいずれの細胞をニューロンへと分化させるかの決定を司る分子メカニズムは明らかでない。神経系前駆細胞の未分化性維持にはNotchシグナルの活性化が必須であり、Notchシグナルが不活性化された細胞はニューロンへと分化する。従って、Notchシグナルの活性化と不活性化を決定する機構こそが神経系前駆細胞群の中からニューロンへと分化する細胞の決定において重要であると考えられる。 Notchリガンドである膜タンパク質Delta-like1 (Dll1)は神経系前駆細胞のNotchの活性化に必須であり、Dl11の量が未分化な細胞と分化細胞を決定することに重要である。細胞間に生じた細胞膜上へのDll1の提示量の偏りが、隣り合う細胞のNotchの活性化を介した側方抑制機構によって増幅され、その結果として未分化な細胞と分化する細胞を決定することが示唆されている。従って、Dll1の最初の偏りがNotchの活性化と不活性化を生み出すことに重要である。しかしながら、Dll1の偏りが最初にどのようにして生じるかはわかっていない。我々は、未分化な神経系前駆細胞の一部の細胞でDll1が粒状の構造体(Dll1 puncta)を形成していることを発見した。これらの細胞では他の死刑系前駆細胞に比べてNotchが強く活性化していたことから、Dll1の偏りを生み出すメカニズムがDll1タンパク質の局在制御にあるのではないかと考えた。さらに、Dll1 punctaを形成細胞における膜上のDll1量を検討した。その結果、Dll1 punctaを形成している細胞においては、膜上のDll1量が他の神経幹細胞よりも少ない可能性を示唆する結果を得た。このころからDll1 punctaを形成することの意義として、膜上からDll1を減少させることでDll1の偏りを産み出している可能性があると考え、さらに研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Dll1 punctaの形成が未分化性の維持に貢献するメカニズムの解明み対する示唆的な結果を得たため。
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Strategy for Future Research Activity |
Dll1 punctaの形成を担う実行因子の同定がまだ十分に達成していないため, 分子的な探索のほか、電子顕微鏡観察などDll1 punctaの実体をつかむ複数の手法を取り入れていく。
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