2013 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチン制御因子Mamoによる極細胞中における遺伝子発現制御機構の解析
Project/Area Number |
13J10063
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
平 誠司 甲南大学, 大学院自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ショウジョウバエ / 生殖細胞 / zinc-finger / クロマチン |
Research Abstract |
これまでに生殖細胞中で、vas遺伝子などの生殖細胞関連遺伝子の発現を活性化する分子機構は明らかになっていない。本研究では、生殖細胞中でショウジョウバエのクロマチン制御因子Mamoが生殖細胞の形成及び発生に必要なvas遺伝子の発現を活性化するメカニズムを解明することで、生殖細胞の分化メカニズムの解明を試みた。まず、MamoのC2H2型zinc-fingerドメインがDNAに対する結合能をもち、さらにDNA結合に必要なコンセンサスを明らかにした。このコンセンサス配列をもとにvas遺伝子座にあるMZD結合部位の候補を検索したところ、13カ所あることがわかった。そこで、これらの結合部位の候補とMZDがin vivoで結合するのかを解析するためにChIP解析を行った。その結果、MZDがvas遺伝子座中のイントロンにある配列と結合することがわかった。また、MZD強制発現胚中のMZD結合部位周辺ではピストンH3K27のアセチル化(H3K27Ac)レベルが野生型に比べて増加することが明らかになった。これらのことから、MZDはvas遺伝子座に直接結合し、vas遺伝子座のピストン修飾状態を変えることでvas遺伝子の発現を制御している可能性が考えられる。しかし、MZDにはピストン修飾に関わるドメインは含まれていないため、MZDがなんらかのヒストン修飾因子と相互作用することが予想される。そこで、ヒストンH3K27Acに関わることが知られているCBPに注目し解析を行った。その結果、MZDを胚全体で強制発現させるとvas遺伝子の発現量が増加するが、CBPとMZDを胚全体で同時に強制発現させたところ、MZDだけを強制発現させた場合よりもさらにvas遺伝子の発現量が増加することが分かった。このことから、MZDとCBPが遺伝学的に相互作用すると考えられる。生殖細胞中での遺伝子発現については多くの研究が行われてきたが、遺伝子発現の制御機構に関する知見は乏しい。本研究からvas遺伝子の発現制御にクロマチン構造が重要であることが示唆される。今後、ヒストン修飾を中心としたクロマチン構造の制御が、生殖細胞中の遺伝子発現を制御する分子機構を明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでvas遺伝子に関して多くの研究がされてきたが、直接作用する因子は見つかっていなかった。本研究により、MZDがvas遺伝子座に直接結合することを明らかにし、さらにMZD結合部位周辺のH3K27Acレベルが高くなることを見いだした。さらに、MZDのコファクターとしてCBPを同定した。これらのことから、今まで明らかになっていなかったクロマチン構造を介したvas遺伝子の発現制御機構を明らかにできると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
MZDとCBPが遺伝学的に相互作用することがわかったが、生体内で物理的に相互作用するかは不明である。そこで、MZD-FLAGとCBP-V5の両方を強制発現させた胚を用いて共免疫沈降実験を行う。また、これまでMZDのDNA結合に必要なコンセンサス配列を明らかにしたが、それはin vitroの実験系であるSELEX実験をもとに行ってきた。vas遺伝子座に含まれるMZD結合部位の検索にもこの情報を使っているため、in vivoでMZDがvas遺伝子座のどの部分に結合するのか、その全体像は明らかにできない。そこで、MZD-FLAG強制発現胚と抗FLAG抗体を用いたChIP-seq解析を行い、MZDがvas遺伝子座のどの部分に結合するのかを解析する。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Genetically encoded system to track histone modification in vivo2013
Author(s)
Yuko Sato, Masanori Mukai, Jun Ueda, Michiko Muraki, Timothe J. Stasevich, Naoki Horikoshi, Tomoya Kujirai, Hiroaki Kita, Taisuke Kimura, Seiji Hira, Yasushi Okada, Yoko Hayashi-Takanaka, Chikashi Obuse, Hitoshi Kurumizaka, Atsuo Kawahara, Kazuo Yamagata, Naohito Nozaki & Hiroshi Kimura
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Journal Title
DOI
Peer Reviewed
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